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講演・シンポジウム|イベント
2025/02/13
1月16日(木)、講演会とワークショップから成るイベント「IDGs—変容する組織」が開催され、APU生、多様な背景を持つ一般の方々、あわせて約30名が参加しました。IDGs(Inner Development Goals)とは、内面的スキルの成長目標を指します。SDGsの2030年までの達成が困難と言われるなか、社会課題の解決には「人間の内面の成長」が重要であるという考えが近年注目されるようになり、複数のグローバル企業や大学でIDGsの研究・活用が進んでいます。今回のイベントはPARKSの「チェンジメーカー・フォーラム」の一環として開催され、心理コンサルタントで株式会社エタニティーズCEOの内田奈及子氏が講演会とワークショップに登壇しました。
講演会では、IDGsに向けた取り組みによってもたらされる内面の成長が、いかに人、組織、社会にとって重要であるかが説明されました。内田氏は、IDGsの科学顧問でもあるハーバード大学教育学大学院のロバート・キーガン名誉教授の成人発達理論を紹介し、知識の量的拡大やスキルの質的向上を「水平的成長」、人間としての器の拡大や組織の枠組みが変化するような成長を「垂直的成長」と位置づけ、人の垂直的成長は内面的成長によって促されると説明しました。内田氏は、これからの未知の時代を生き抜く適応力を育むには垂直的成長が重要であり、そのためには個々の内面的成長が不可欠であると強調しました。
イベント後半には、参加者は多様性を考慮した4人前後ずつのグループに分けられ、「多様な視点で課題を乗り越える」をテーマに対話型ワークショップが行われました。内田氏より、組織の成長には個々人の心理的安全性が必須である旨が指摘され、グループ内の対話では均等な発言機会の創出や、相手の感情を読み取る社会的感受性を意識するよう提案されました。IDGsのフレームワークである5つのカテゴリーをより深めた「強みインタビュー」というワークでは、それぞれが自分の長所を挙げたうえで周りの人とインタビューし合い、他者の視点による強みの発掘が試みられました。参加学生にとっては、多様な背景を持つ方々と自分の強みについて話し合う、有意義な機会となりました。
一時間におよぶ対話で参加者たちの表情は徐々に豊かになり、発見した強みを生かせる今後の可能性まで提案し合うなど、対話の効果と重要性が浮き彫りになりました。内田氏は、「自分の強みを生かしながら、足りないところはほかの人の強みを借りていきましょう。多様性がイノベーションを生みだします」と、自分をより知ることとチームワークにより、未来を切り開くことを参加者に呼びかけました。