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2024/06/21
2024年5月9日、サステイナビリティ観光学部 須藤智徳教授が担当する「環境経済学JA」および「環境政策とガバナンスJA」の授業において、イオン九州株式会社と、株式会社環境整備産業による特別講義が行われました。講義では「食品廃棄物を削減する『食品リサイクルループ』への取組」をテーマに、サステナブルな社会の実現を目指す、イオン九州株式会社と株式会社環境整備産業の取り組みが紹介されました。
講義の前半では、株式会社環境整備産業 総務・人事部の松枝 萌々子氏により、同社の主な事業の一つである食品リサイクルの流れが具体的に説明されました。APUの卒業生でもある松枝氏は、在学中より食品ロス問題に取り組む学生団体「あまいろ商店」の運営に携わる等、学生時代から継続して食品廃棄物の問題に取り組まれています。
大分の産業廃棄物収集運搬・リサイクルを行う株式会社環境整備産業では、食品リサイクルを事業の一つとして行っています。同社には、大分県内の食品残渣 年間約5万トンのうち、約2000トンが搬入されます。搬入された食品残渣は、コンポスト化のプロセスを経て383トンの堆肥として生まれ変わり、出荷されます。この堆肥は大分県内のホームセンターでも販売されており、消費者は商品を購入することで、上記のサイクルに参加することができます。
後半では、イオン九州株式会社上席執行役員の武富恭子氏により、同社のサステナブル戦略について説明されました。イオン九州では「私たちの『たからもの』、九州をもっと」をパーパスに、地域と地球双方のグローカルな視点で、豊かな暮らしと健全な地球環境を生むことを目指しています。
イオン九州株式会社の店舗から出る食品廃棄物は株式会社環境整備産業により堆肥化され、イオングループの農業法人であるイオンアグリ創造株式会社がこの堆肥を農作物の栽培に用い、その収穫物はイオン九州の店頭で販売されています。この取り組みは、農林水産大臣・環境大臣・経済産業大臣より食品循環資源の再生利用事業計画(食品リサイクルループ)として認定を受けています。
また、イオングループ全体で取り組んでいる、環境保全に向けた様々な施策も紹介されました。家庭で消費されず残っている未開封の加工食品の寄附を顧客に募り福祉団体などに無償で届ける「フードドライブ」や、レシート合計金額の1%相当を地域ボランティア団体に寄付できる「イオン 幸せの黄色いレシートキャンペーン」などにより、環境保全の役割を担うとともに、店舗に訪れる顧客への循環型社会の実現に向けた意識づけを行う取り組みも行なっています。武富氏は、これらの取り組みを通じ、サステナビリティを重視する消費者が増加傾向にあると実感していると語っています。
本講義を通して、多くの消費者との接点を持つ大型小売業と、廃棄物管理に専門性を持つ事業者とが協働することにより、「食品リサイクルループ」として循環経済システムの形成に大きな役割を担うとともに、消費者の問題意識も高められることが示されました。
講義を受講した合計425名の学生や聴講者からは、食品廃棄物削減など企業が取り組むサステナビリティへの取組に高い関心が示されるとともに、サステナブルな社会形成に向け、自分たちができることを考える貴重な機会となりました。