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研究
2018/12/10
2018年10月31日(水)、Griffith大学(オーストラリア)Kai He教授をお迎えし、「中国と国際秩序についての再考:概念解析」と題してRCAPS* Onigiriセミナーを開催しました。セミナーの司会は国際協力・研究部長の佐藤洋一郎 アジア太平洋学部教授が務めました。
He教授の研究テーマは、中国を「修正主義国家」と「現状国家」のどちらに分類するかという、以前から行われている議論から生まれたものです。前者は、中国は現状の国家秩序に異議を唱えている、というもので、後者は、近年自国が現在享受している利益(特に経済的利益)を理由に、現状をあえて壊したり、新たな秩序を展開する理由は無いとするものです。双方ともに強固な論拠に裏づけされており、その分野の研究者間では激しい火花が散る、終わりの無い喧々諤々の議論が続いています。
研究者が国際秩序と中国との関係性を理解するための枠組みをHe教授は作りました。この枠組みは、中国の経済、政治、安全保障の面での標準ベースレベル、パワーベースレベル、ルールベースレベルが考慮されたものです。
発表の終わりに、He教授は、中国は現状の国際秩序の一部に対して異議を唱えている一方で、それを完全に打破することは意図しておらず、その能力も無いと結論付けました。さらに、国際秩序に対する中国のアプローチは、それのみで論ずべきではなく、研究者は中国と他の国々との関係性の分析を基盤におくべきだとしました。なぜならそれらの関係性が中国の将来的な行動指針を形作り、国際秩序における役割に影響するからであるということでした。
質疑応答では、一帯一路政策、継続的な南シナ海政策、アジアインフラ投資銀行(AIIB)といった中国の国際政策へのHe教授の見解に質問が集まっていました。参加者からの質問や反対意見に対するHe教授の回答は、礼儀正しくプロフェッショナルであり、それは当該分野の専門知識の深さを物語るもので、多くの参加者に感銘を与えました。
*アジア太平洋研究センター(Ritsumeikan Center for Asia Pacific Studies : RCAPS)は、APUの教員や大学院生によるアジア太平洋地区に関する研究を促進するものとして立案されたセミナーを開催しています。Onigiriセミナーシリーズはおにぎりや、軽食、ドリンクが提供されるユニークなスタイルのものです。さらに、講義後に講師と参加者の教員、学生に自由な意見交換を促すものでもあります。すべての教員、学生は、無料でセミナーに参加できます。