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ANAHD執行役員保谷氏と校友Hofer氏が語る“サステイナビリティとツーリズムの未来”

講演・シンポジウム|来学者|SDGs

2025/11/10

2025年10月17日(金)、サステイナビリティ観光学部の吉澤清良教授による授業「ツーリズムオペレーション」にて、ANAホールディングス株式会社(以下、ANAHD)より、執行役員でグループChief Sustainability Officerを務める保谷智子氏、ならびにANAウィーン支店アシスタントマネジャーでAPU一期生のElitza Hofer氏を講師に迎え、航空業界のサステイナビリティ戦略と国際的な視点を学ぶ特別講義が開催されました。

講義ではまず保谷氏より、企業価値向上と社会課題解決の長期的な両立を目指す、サステイナビリティ経営の基本的な考え方が明示されました。そのうえでANAのサステイナビリティ経営として、運航時のエンジン使用削減の実施や、2030年までに燃料の10%を代替燃料(SAF)に置き換える目標が立てられているなど、具体的な取り組みが紹介されました。その他にも、省エネ施策やアップサイクル、食品廃棄削減など、航空機以外のサステイナビリティに関わる取り組みも紹介されました。また、大分県での地域創生イベントの継続的な実施、人材施策として人権保護の窓口を設置するなど、非財務領域への投資と、それを財務価値へとつなげる取り組みも共有されました。
保谷氏は、サステイナビリティは特別なことではなく我々の生活につながっており、ツーリズムもサステイナビリティを考慮しながらここまで成り立ってきているはずだとして、前例に学ぶことの重要性を語りました。そのうえで学生にむけて、皆さんだったらどういう世界を作りたいかを考え、同じ考えを持った人とつながり、ともに切磋琢磨しながら進んでいくことが大切だと伝えました。

続いて登壇したHofer氏は、APU卒業生としての視点から、サステイナビリティへの関心が高まった自身のキャリアの歩みを紹介しました。旅行業界での経験を通じて環境破壊の現実を目の当たりにし、次世代のために責任ある行動をとる必要性を感じたと語りました。ウィーン支店勤務のHofer氏は、EUにおけるサステイナビリティ関連の法令や規制の動向についても言及し、消費者への意識向上、証拠のないエコ表示の禁止、企業による非財務情報の開示など、サステイナブルな選択肢が当たり前に提示されるべき時代であることを強調しました。
また、ウィーン支店での多国籍スタッフとの協働経験を通じて、文化的背景の違いを超えて働ける職場環境づくりの重要性を語り、APU生に向けて「サステイナビリティの知識」「地域社会との協働経験」「異文化理解力」が今後のスーパーパワーになると激励しました。国際学生との交流や外国語学習を通じて視野を広げ、卒業後も部門・業界・国境を越えて協力する精神を忘れないでほしいとメッセージを送りました。

講義後の質疑応答では、ANAの競争力、地方創生の具体的な取り組み、外国人材の就労支援などについて学生から鋭い質問が寄せられ、保谷氏、Hofer氏、そしてANA大分支店長の武下豊氏が丁寧に回答しました。

学生からは「サステイナビリティは特別なことではなく、日々の業務の積み重ねであり、人とのつながりが不可欠だという考え方に共感しました」などの声が寄せられ、講義を通じて企業の取り組みと自身のキャリアを結びつけて考えるきっかけとなったことがうかがえました。



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