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連携事業|来学者|SDGs
2024/10/31
2024年10月10日(木)、サステイナビリティ観光学部の「環境経済学」(須藤智徳教授)、「専門実習」等(松尾雄司教授)の授業内で、九州電力株式会社(以下、九州電力)池辺和弘社長を講師にお招きし、「カーボンニュートラル実現に向けた取り組み」をテーマとした特別講義を開催しました。APUと九州電力大分支店は2021年に包括連携協定を締結しており、学部生を対象とした協力講座を開講して今年は3年目となります。このたび初めて池辺社長が登壇し、地球「沸騰」化にどのようにして立ち向かうかを学生に向けて講義を行いました。
講義の冒頭、池辺社長は「エネルギーとは何か?」を学生に問いかけ、「火」という発明が人間の生活を大きく変えた時代から、エネルギーを得るための資源が人の発見と努力により多様化してきた経緯を改めて振り返りました。また、世界共通の喫緊の課題である地球温暖化を近年提示された「地球沸騰化」と呼ぶことに賛同し、CO2を排出しないエネルギー資源を採用することで、人間が築き上げてきた文明を大切にしながらカーボンニュートラルを推し進めることが私たちの使命であるとしました。更に、日本のCO2年間排出量は現在約11億トンであり、うち約4億トンがエネルギー転換部門(発電等)から排出されているデータを示し、エネルギー産業に従事する企業としての役割を示しました。
講義では、カーボンニュートラルにはエネルギーの電化が必須であり、それを再生可能エネルギーや原子力で賄うことが重要であると提案されました。池辺社長は再生可能エネルギーの利点を挙げつつも、電気は作った瞬間に使わなくてはならないという特性を持っているため、太陽光等の再生可能エネルギーのみで全ての電力を賄うことは難しいという点を指摘しました。それでもカーボンニュートラルに向けて重要な役割を果たすことに変わりはないため、九州電力では蓄電池変電所を運用しており、再生可能エネルギーの可能な限りの活用を目指しています。また池辺社長は、カーボンニュートラルに向けた切り札である原子力には、東日本大震災を経て様々な問題が指摘されてきたとしつつも、震災以降、発電所の審査を強化し、安全性向上の試みが続けられていると述べました。
最後に池辺社長は、地球沸騰化以外に憂慮されている問題として、日本の人口将来推計を指摘しました。エネルギー産業に関わらず、一人の経営者として取り組むべきこととして、DX(デジタルトランスフォーメーション)への適応と、人的資本経営を挙げ、人が減ることをデジタルの力で補いつつ個人の能力伸長支援と働きやすさの保障を行い、生産性を向上させることが必須であるとしました。
質疑応答では受講生から、エネルギーの電化による環境負荷等の問題について、その持続可能性に関する池辺社長の見解や、核融合などによる発電の今後についてなど、多くの質問が寄せられました。池辺社長は、ご自身が社会人として大切にしてきたことを尋ねられた際には、「好奇心を持って学び続けることが大切」と学生たちを激励しました。