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学生生活|イベント
2018/03/19
2018年3月16日(金)、本学は2018年春の学位授与式を行いました。学部と大学院併せて682名(国際学生205名(25ヶ国・地域出身)、国内学生477名)が晴れの日を迎えました。会場となった別府市のビーコンプラザには、世界各地から集まった卒業生のご家族や友人も集まり、本学で培った様々な学びを糧にして新たなステージへ出発する卒業生を祝福しました。
式では出口治明学長が、卒業生たちへ次のようなメッセージを贈りました。「卒業生の皆さん、ご卒業本当におめでとうございます。保護者の皆様をはじめとするご列席の皆様と共に皆さんの門出をお祝いしたいと思います。APUと協定を結んでいる東北地方有数の漁港の町、気仙沼には出船送りという行事があります。遠くアフリカまで漁業に出る遠洋漁船を見送る行事です。今日は、これから広い世界に羽ばたく皆さんに、3つのことをお話したいと思います。」
―――学長からのメッセージの全文はこちらでご覧いただけます―――
卒業生の皆さん、ご卒業本当におめでとうございます。保護者の皆様をはじめとするご列席の皆様と共に皆さんの門出をお祝いしたいと思います。
APUと協定を結んでいる東北地方有数の漁港の町、気仙沼には出船送りという行事があります。遠くアフリカまで漁業に出る遠洋漁船を見送る行事です。
今日は、これから広い世界に羽ばたく皆さんに、3つのことをお話したいと思います。
1つ目は、なぜ、これほどまでに、国際化が大事だと叫ばれているのかということです。日本で最初に文明が起こったのは北九州の地でした。それは、朝鮮半島の南部で鉄を産出したからです。交易によって鉄を入手したので農作業が格段にはかどり、生産性が石器時代に比べて急上昇したことが主因です。動物は生態系の中にある資源の制約の中でしか生きられない。しかし、人間は生態系を超えて交易を行うことで豊かな文明を築いてきました。つまり、グローバリゼーションは、昨日、今日始まったものではなく、文明と共にスタートしたのです。近代の高度産業社会は、産業革命の3要素であった化石燃料、鉄鉱石、ゴムという3つの資源を基に築かれています。しかし、資源は各国均等に存在するわけではなく偏在しています。これらの資源を豊富に有するアメリカのような大国は自国ファーストでも生きていけます。でも、世界のほとんどの国は日本のように3つの資源を持っていない。だとすれば、日本を含む多くの国々は、自由な交易の上にしか豊かな社会を築くことは出来ません。これが、グローバリゼーションが大切だといわれている根源的な理由だと思います。
2つ目はチャレンジについてです。世界には220ぐらいの国や地域があり様々な人が暮らしている。その様々な人々やそれらの国の文化や伝統を理解して初めてスムーズな交易が可能となるのです。交易とは単なる物質のやりとりではない。人間が、もっと言えば、人の心が介在するのです。なぜ、ダイバーシティが重要だといわれるのか。それは、世界が多様だからです。人はみな違う。国や地域もみな違う。ダイバーシティを理解して初めて人は寛容になり価値観の押し付けを避けるようになり、世界の多様な人々とコミュニケーションが可能もしくは容易になるのです。皆さんは、90の国や地域が集う「若者の国連」、僕はAPUをそう呼んでいますが、で鍛えられてきたので、ダイバーシティの理解については世界中どの大学の卒業生にも負けないと僕は思っています。自信を持って世界に飛び出してください。僕はAPUの2030年ビジョンがとても好きで誇りをもっています。皆さんが広い世界に散らばり、自分のやりたいことや好きなことに打ち込めるそれぞれの持ち場を見つけて、APUで学んだことを生かしながら自分のアタマで考え、それを行動に移すことによって世界を変えていく。何という素晴らしいビジョンでしょう。それが、shape your world の本当に意味するところだと思うのです。現在の世界には暗雲が立ち込めていると悲観的に見る向きもあります。一部で台頭している排外的な動きや独裁的な傾傾などに、立命館の建学の理念である平和と民主主義が脅かされているという見方も十分成り立つでしょう。しかし、人間の歴史はジグザグの繰り返しです。SDGsやCOP23など未来に希望が持てる取り組みもたくさん行われているのです。皆さんは、広く世界を見渡して、やりたいことを見つけて行動に移し世界を変えてください。見つからなければ、見つかるまで航海を続ければいい。長い人生です。焦る必要はどこにもありません。中には、自分1人が行動しても世界が変わるわけではないとクールに世界を見ている人もいます。その通りです。歴史上、世界を変えようと行動した人の99%は失敗しています。つまり、彼らは世界を変えることができなかったのです。しかし、その冷厳な事実を知りながら、行動しなければ何一つ世界は変わらないと残り1%未満の可能性に賭けてチャレンジし続けた人が連綿と続いてきたからこそ、歴史は進歩し、世界は良くなってきたのです。皆さんは、何も恐れることはありません。若い皆さんには、何度でもチャレンジする十分な時間がある。仮にうまくいかなかったとしても、自分はみんなと同じだったんだ、多数派だったんだと思えばいいだけの話です。
そして、3つ目は常に「学ぶ」ということです。皆さんには、これからも学び続けてほしいと思います。今年、2018年は、日本が近代化を成し遂げた明治維新から150年の節目の年に当たります。明治維新はなぜ成功したのでしょう。それは、徹底的に世界に学ぼうとしたからではないでしょうか。明治維新からわずか3年後、まだ新政府の骨格さえ固まらぬ時期に政府首脳の大半が外国に学びに出かけたのです。岩倉使節団といいますが約2年近くをかけて世界を周りました。でも、そのおかげで日本は急速な近代化に成功したのです。ローマ帝国の初代皇帝であるアウグストゥスではありませんが、まさに、「ゆっくり急げ」です。慢心からは何も生まれない。謙虚に学ぶ姿勢が何よりも大切です。皆さんは、これからもたくさんの人に会い、たくさん本を読み、広い世界を旅することによって皆さん自身をさらに鍛えてください。人間は「人・本・旅」によってしか学ぶことはできません。そして、学ぶことは、間違いなく人生の選択肢を増やすのです。今、皆さんはスキー場にきています。楽しみ方が二つある。がんがん滑るのと滑る人を黙って見ているのとどちらが楽しいと思うか、どちらかに手を挙げてください。僕が言いたいことは、分かりますね、スキーを学んだ人は両方選べるのです。今日はがんがん滑ろう、あるいは昨日滑り過ぎて筋肉痛だから今日は見ていようと。しかし、スキーを学ばなかった人は見ていることしかできないのです。どうか、何事でも、貪欲に学び続けてください。学べば確実に一つ人生の選択肢が増えるのです。それはとても楽しいことだと思います。
気仙沼を出港した漁船は半年、あるいは1年後に帰ってきます。皆さんも、いつでもAPUや校友会の集まりに帰ってきてください。世界には既に33の校友会のチャプターが設立されています。APUのいわば分身です。144の国と地域からAPUに来て学び、約1万5000名の卒業した先輩が世界中で活躍しています。みんなAPUファミリーです。我々は、大きな1つの家族なのです。そして若い皆さんの新しい人生におけるチャレンジこそが、この大家族を元気づけるのです。
最後に、はなむけの言葉を一つ贈ります。
Go where nobody has gone,
Do what nobody has done
皆さんの飽くことのないチャレンジを心から応援しています。
学部卒業生を代表して、今年度の安藤百福名誉博士栄誉賞の受賞者である渡辺彩加さん(アジア太平洋学部、日本)は、「ここに立ち、みなさんお一人お一人の笑顔を見ていると、APUで過ごした4年間の思い出があふれてきて、胸が詰まります。思い出の一つ一つに、みんなの笑顔があります。」「笑顔の思い出たち。しかし、すべての日々を笑顔で過ごせていたわけではありません。私がAPUに入学した2014年から今日にいたるまで、世界で様々な自然災害がおきました。その一つ、ネパール地震が発生した時、私たちは苦しい思いを共有しました。その時、翌日には募金活動を開始し、ネパールに対してなにかできることはないか、と模索を始めた人たちがいました。『何とかしてあげたい、笑顔にしてあげたい』そんな気持ちがAPU全体にあふれていました。APUという、世界の縮図のような場所にいて、『他の国で起こっている出来事』が『他人事」ではなくなっていきました。」「APUで学ぶうちに、私の目標が定まりました。『人が笑顔で人生を全うできる』世界を作ることです。私はこれから、大学院に進学し、食糧問題、環境問題、そして人口流動などについて研究をしていきます。飢餓で亡くなるのではなく、誰かに人生を奪われるのではなく、『人が笑顔で人生を全うできる世界』、その実現の力添えができればと思っています。」と抱負を述べました。
また、大学院修了生を代表してLAMICHHANE Suresh Prasadさん(経営管理研究科、ネパール)が「ネパールの人里離れた村からこのステージまでの私の旅は紆余曲折がありました。失敗と成功の連続でした。努力と決意と奮闘の旅でした。私は、どんなに困難でも、固い決意と日々の努力があれば、目標を達成できると信じ、いくつもの障壁を乗り越えてきました。」「APUで6年過ごして、APUは世界の縮図のようだと思います。グローバリゼーションが進んだとはいえ、世界はまだ分断されています。国同士、宗教間、異なる階級で憎しみが存在します。現在の世界の状況と比べて、ここAPUでは、異なる社会経済的バックグラウンドを持つ学生達が互いの目標を達成するために協力しています。和をもって協働し、文化の違いを尊重し理解し合う例を作り上げたのです。」「最後に申し上げたいことは、失敗したことがなければまだ人生を味わっていないということです。失敗は成功の反対ではありません。失敗は成功の一部分なのです。失敗は私達にまだ改善の余地があることを教え、努力と決意によってさらにすばらしい業績を作ることができるのです。」とのメッセージを贈りました。
式典の後には 恒例の帽子投げが行われました。卒業生たちの“We love APU”の掛け声と共に、赤い学帽が一斉に高く舞い上がり、拍手が鳴り響きました。卒業生は、笑顔で会場を後にし、それぞれが新たな人生のステージに向って歩き出していきました。
2018年春 学位授与者数 | |||
国内学生 | 国際学生 | 合計 | |
アジア太平洋学部 | 295 | 63 | 358 |
国際経営学部 | 180 | 125 | 305 |
学部合計 | 475 | 188 | 663 |
大学院経営管理研究科 | 0 | 11 | 11 |
大学院アジア太平洋研究科博士前期課程 | 2 | 5 | 7 |
大学院アジア太平洋研究科博士後期課程 | 0 | 1 | 1 |
大学院合計 | 2 | 17 | 19 |
合計 | 477 | 205 | 682 |
卒業式の様子はインターネット上でライブ中継しました。配信映像はFacebook Live、Ustream(2018年8月1日より視聴できません)よりご覧いただけます。
APUギャラリー
https://www.apu.ac.jp/home/gallery/article/?storyid=238