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阿蘇地域の、訪日外国人観光客向け滞在交流型ツーリズム開発の潜在能力調査

連携事業

2018/03/12

本学では、この度、経済産業省の「平成29年度地域中核企業創出・支援事業」に 採択された「阿蘇地域初の海外富裕層向けの滞在交流型高付加価値観光商品の開発」事業の一部として、掲題調査に取り組みました。

今回、本採択事業の一部として、立命館アジア太平洋研究センター(RCAPS)の付属研究センター「International Center for Asia Pacific Tourism (iCAPt)」を主管とし、轟博志 アジア太平洋学部長が担当者となり、阿蘇地域における訪日外国人観光客向け滞在交流型ツーリズム開発の潜在能力調査に取り組みました。

熊本地震被災地域の復興支援は立命館学園全体としても取り組んでおり、観光による復興を、研究を通じて支援することの社会的意義は大きく、さらに大学院生自らが調査を行うことにより、大学院教育にも直結するものだと考えています。

調査の実施にあたっては、まず、2018年1月15日(月)に採択事業の支援対象地域である熊本県南阿蘇村の地獄温泉清風荘の河津誠社長をはじめ、阿蘇地域の方々が、本学大学院科目「文化遺産観光」の授業に参加しました。

河津社長から自らが経験した熊本地震の被害のようすや、その被災から立ち上がろうとする地元の取組みについて紹介があり、その後、受講生との活発な意見交換が行われました。本学のある同じ九州内で生じた震災の被害について、改めて認識を新たにするとともに、地域の主力産業である観光で復興を果たしたいとする地域の想いを学ぶことができました。

次いで、2017年1月21日(日)、「文化遺産観光」科目を履修している大学院生13名(国際学生12名(6カ国・地域出身)、国内学生1名(別府市出身))に学部生2名を加えた15名の学生が、阿蘇地域を訪れ、終日をかけ現地調査を行いました。

訪れたのは、前述の河津社長の地獄温泉清風荘の被災現場や、地震で崩落した阿蘇大橋、いまだに全面復旧されていない南阿蘇鉄道(長陽駅)、さらには、熊本県と大分県を結ぶ豊後街道(二重峠)、地震で本殿等が崩落した阿蘇神社などです。

現地調査には、河津社長や地元の方々も同行され、訪れたそれぞれの現場で、さまざまな角度からお話をしていただきました。地震の被害もさることながら、阿蘇神社や豊後街道など、阿蘇地域の歴史や文化、地域の特産品など、観光地域として阿蘇が持っている魅力を発見することができました。

地獄温泉では旅館の解体作業が行われていましたが、旅館の後方にそびえる山からの土砂崩れの被害の大きさを実感しました。また地獄温泉が誇る「すずめの湯」では足湯をし、温泉から湧き出る泥を手や足にかけながら、河津社長のお話を聞く、貴重な経験をしました。

周囲を豊かな自然に囲まれる長陽駅では駅長がウクレレで弾き語りながら、学生たちを迎えてくれました。風情のある駅の建物とその雰囲気は、観光地として大きな魅力を持っています。長陽駅は地震以降列車の運行が停止したままということですが、近い将来、長陽駅が観光地として復活する日を心待ちにしています。

これらの現地調査をもとに、各学生が今後の観光産業に関するアイデア等の提案を行いました。その結果は、今後の阿蘇地域での取組みの参考として活用されることになっています。

南阿蘇村・長陽駅。駅長がウクレレを弾きながら阿蘇の歌を歌ってくれました

地獄温泉で足湯を体験。地元テレビ局の取材を受けました

参加学生の感想を紹介します。

「観光学そして地域発展に関心がある学生には素晴しいプログラムでした。様々な国・地域から集う国際学生と行う現地調査を通して、様々なアイデアを共有するができ、地域発展に関する知識が広がりました。また、普段は書籍やニュースでしか知ることができない自然災害の爪あとを直接見て、国際学生がそれぞれの意見やアイデアを発表するこのような学習は、書籍を通して学ぶこととは違いました。現地で地域関係者に取材し、被災者の方に直接お話をお聞きできたことは、自身の学びへの意欲をとても高めてくれました。そして震災対策について、自ら調査して学んだことは、教室内だけでの学習では得ることが出来ない価値があったと思います」

「今回、1月21日(日)に阿蘇地域への現地調査に参加しました。最初の訪問で、地獄温泉の被災状況の説明を受け、足湯を体験させてもらいました。学生のほとんどが足湯を初めて経験した様子でした。一方で、阿蘇の至る所に2016年に生じた大地震の爪痕を目撃し、現実を突きつけられました。続いて見学した二重峠では、阿蘇の雄大な自然のもと、多くの学生が景色のすばらしさに感動していました。また、最後に訪れた阿蘇神社周辺の見学では、学生が地元の方々と、いかにして、このすばらしい阿蘇の魅力を発信するか、熱い議論を交わすことができ、非常に貴重な学びの機会となりました」



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