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APU生が大阪・関西万博の国際セッションに登壇「AIとビッグ・データで生物多様性を守るために」

社会貢献|イベント|SDGs

2025/12/18

2025年9月27日(土)、井上和奏さん(アジア太平洋学部 4回生)が、2025年日本国際博覧会の「アジェンダ2025共創プログラム」の一つであるイベントに登壇しました。「ビッグ・データと生物多様性~ネイチャー・ポジティブ達成に向け、AIをはじめとする最新の情報テクノロジーは2050年までにどう活用され発展すべきか~」と題した国際セッションには、世界をリードする若者4名が参加し、生物多様性保全の未来像を議論しました。

イベントでは、生物多様性がかつてない危機に直面するなか、急速に進化するAIや情報技術が2050年にはどのように自然保護や社会設計に活用されるべきかについて、議論が交わされました。最初の論点として井上さんが、ビッグ・データ/AIの効用と限界を、自身の取り組みを例に整理しました。井上さんはフィジーやキリバスでのマングローブ保全の実践から、衛星から取得したデータが、植林地の健全性や生育ポテンシャルを広域に把握するうえで有効である一方、地域の経験知に置き換わるものとしては足り得ず、あくまで実践を支えるものだと強調しました。井上さんは、「どこに植樹を行うと良いか」を考える際は、まずは現地を知る住民の直感的判断を尊重し、データはそれを補強する形で使うべきだという姿勢を示しました。また、自身が取り組んできた、落ち葉から作るクレヨンの売上を再植林に回す取り組みを紹介し、参加のよろこびを可視化すること自体が活動継続の原動力になりうると述べました。

他の登壇者からは、AIによるパターン可視化や早期警戒、資源の効率利用などの利点が示される一方、エネルギー負荷やプライバシー、地域間格差などの課題も指摘されました。そのうえで、技術は自然との共生を支える道具であり、定量的なデータと人間の感性を結びつける設計が求められるとの認識が共有されました。登壇者は本セッションを経て、会期後には、地域にとって意味のある形でのデータ提供とガバナンスの整備や、AIと衛星技術を統合した生態系モニタリングの高度化とシステム自体の環境負荷を抑える工夫の両立、若い世代への教育・普及を通じたネイチャー・ポジティブな社会実装など、具体的な施策に取り組む意思を共有しました。

セッションの様子は、2025年日本国際博覧会「テーマウィーク」のサイトからご覧になれます。

井上和奏さんの活動

井上さんはこれまで、気候変動の影響を受ける太平洋島嶼国・フィジーの「持続可能なマングローブ植林の仕組みづくり」に挑戦してきました。従来の植林活動は企業やNGOの支援に依存しがちですが、井上さんは「自立的な循環」を目指して、クラウドファンディングを立ち上げました。そこで得た資金を元に、マングローブの落葉からクレヨンを製作・販売し、その収益を植林に還元するというユニークなモデルを構築しました。この活動は、環境保全だけでなく現地コミュニティの経済的・社会的な豊かさにもつながっており、現地の女性たちがクレヨン製作に参加し、子どもたちが葉の収集を手伝うなど、地域と共に歩む仕組みが広がっています。

井上和奏さんの活動の様子
井上和奏さんの活動の様子
井上和奏さんの活動の様子
井上和奏さんの活動の様子


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