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半導体産業が熱い九州、そのスタートアップ・エコシステムの課題と成功へのカギは?

イベント|研究

2024/08/02

2024年8月2日(金)、国際経営学部の藤田正典教授が「日本のスタートアップ・エコシステムの課題と成功要因~半導体産業を中心に~」をテーマに、ワークショップを開催しました。

日本政府は、日本でスタートアップを生み育てるエコシステムを創出するため、2022年から「スタートアップ育成5か年計画」を推進し、2027年までにスタートアップへの投資額を10兆円規模にすること、スタートアップを10万社、ユニコーン企業を100社、創出することを目標としています。九州では、台湾TSMCの熊本進出を契機に、半導体関連事業が拡大し、スタートアップ企業が立ち上がろうとしています。この背景を受け、冒頭に藤田教授が「本ワークショップでは、半導体にかかわる既存のエコシステムと、新規のスタートアップベンチャーの組み合わせが成り立つのか、企業とアカデミア(大学などの研究機関)がどのように協働できるのか議論したい」と趣旨を説明しました。

ワークショップには、半導体にかかわる有識者4名を、大学と産業界からゲストとして招き、講演とパネルディスカッションを行いました。また、学内からだけでなく、大分県内を中心としたLSI企業、自治体や金融業界などから、およそ40名の参加がありました。

先ず、九州での事例として、九州大学の大西晋嗣氏は、既存の産学連携組織で積み上げた実績に、さらにスピーディーに社会に還元するため、2024年4月に「九大OIP株式会社」を設立に至った経緯を紹介しました。ここでの研究成果を産業界に橋渡しし、知財管理や資金援助、経営人材の確保などを支援し、研究力の収益化につなげ、社会変革をけん引したいと説明しました。

続いて立命館大学の金子健太郎氏は、学生時代より 、新しいパワー半導体材料のスタートアップを起業し、研究を進めてきました。 2022年7月から在籍した立命館大学で、新たにGeO2という新しいパワー半導体材料を生み出し、その実績のほか、日本の半導体産業の再興には半導体人材を育成することが必要であることなどを述べられました。

また、首都圏のスタートアップの事例として、東京大学の平田氏からは、大学や地方公共団体、VC、CVC、アクセラレーター、民間企業などが連携して、東京圏におけるスタートアップ・エコシステムの形成への取り組みを説明しました。

そして産業界の立場からは、大分県の半導体クラスターの歴史や現在の取り組みについて丸井彰氏に、お話いただきました。1980年代から大分県は半導体関連企業が集積し、全国に先駆けて地場企業への支援体制として「おおいたLSI構想」ができたこと、2022年には「未来を拓く 産業モデルの創出 ~想いをカタチに 共感で広げる~」というスローガンの下、研究開発・人材育成・販路開拓・会員交流の4つの柱を中心に活動を進めていると説明しました。

パネルディスカッションでは、4名のゲストの意見交換を藤田教授の進行の元、途中参加者からの質疑を受けながら、活発な議論の場になりました。

ワークショップの終わりには、米山裕学長がクロージングスピーチとして「日新月歩の分野のディスカッションに大変刺激を受けました。理系分野を持っていないAPUが大分からどのように関わることができるのか、APUが持つ多文化協働のノウハウの提供など、ソーシャルインパクト創出のために何ができるのかを考えていきたいです。」と述べました。



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