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受賞|研究
2023/03/16
アジア太平洋学部蓮田隆志准教授が翻訳に携わった、アンソニー・リード著『世界史のなかの東南アジア―歴史を変える交差路』(上下巻、名古屋大学出版会、2021)が、第39回大平正芳記念賞の特別賞を受賞しました。この賞は、公益財団法人大平正芳記念財団が、日本外交の重要な一環を形成する「環太平洋連帯構想」の推進と思想の普及に寄与するため、環太平洋連帯構想に関する政治・経済・文化・科学技術における優れた著作に対して授与しています。このたびの特別賞には訳書が選ばれ、翻訳の功績が評価されることとなりました。授賞式は6月12日に東京にて行われる予定です。
<蓮田准教授による受賞のコメント>
原著は東南アジア史研究の泰斗が古代から現代までの東南アジアを一貫した視点で、しかも東南アジアの多様性に充分に目を配って叙述した素晴らしい作品ですが、大平正芳記念賞では異例なことに翻訳自体が受賞対象となりました。翻訳は学術的業績として評価されにくいことが多いので、とても嬉しく思っています。
日本にとって東南アジアは重要な存在ですが、タイやベトナムといった現在の国家を基準としてバラバラに理解してしまうことがどうしても多くなります。しかし、それでは地域間の交流やグローバリゼーションに対応するのに不十分です。近代的な国境に分割される以前からの歴史的な連続・断絶の双方を基礎知識・背景知識として正しく認識しておく必要があります。実際のビジネスや外交の現場に立つ人々は専門領域については英語や現地語を駆使するでしょうが、背景知識まで手が回らないことも多くあります。翻訳の役割の一つは、そのような人々にも専門知に裏打ちされた良質な情報を日本語で提供することにあります。
また、原著は中国大陸と台湾からもそれぞれ中国語訳で出版されています。我々の翻訳と合わせて4つのバージョンを比較してみるのも興味深いと思います。我々が苦心したさまざまな述語や文章表現を皆さんならどう訳しますか。
蓮田隆志准教授の研究に関する情報は、教員データベースからもご覧いただけます。
https://researcher.apu.ac.jp/apuhp/KgApp?resId=S001588