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受賞|研究
2026/07/24
アジア太平洋学部の許升薫(ホ スンフン)エミリア准教授が、2026年6月、英国を拠点とする国際関係学の学会British International Studies Association(BISA)の設ける学術賞において、「Distinguished Excellence in Teaching International Studies Prize(教育功績賞)」を受賞しました。 BISAが毎年授与する各賞は、国際関係学分野における優れた研究・教育・社会貢献を表彰する、世界的に権威のある学術賞です。このたび許准教授は、芸術や美的な視点を取り入れ、学生が世界を体感しながら学べるような教育手法が高く評価され、同賞を受賞しました。
許准教授はAPUで国際関係論や平和学を指導しています。学生は各授業で視覚芸術(写真、ペインティング、ドローイング)や音楽、文学(小説や詩)、パフォーマンス(ダンス、演劇、ゲームショウ、ミュージカル)などを通じて、自らの考えを表現し、学びの成果を形にします。許准教授はこのような取り組みが、学生たちの学習意欲を高めるうえ、試験やレポートでは得がたい「未来を思い描く新たな想像力」を育み、世界をより前向きにとらえる力を養うと考えています。
APUには100以上の国・地域から学生が集い、それぞれが異なる文化的・歴史的背景を持っています。許准教授は、平和や戦争をテーマにした議論の中で、各国の歴史認識の違いから学生同士の意見が衝突し、沈黙や戸惑いが生じる場面を目にしてきました。そこで、小説や詩を教材として取り入れることで、学生たちが自身のつらい過去についても自由に語り合えるような環境を整えました。このような独創的な手法により、受講生は他者の視点から問題を捉え、自国を中心とした見方にとどまることなく、より深く対話し、理解し合えるようになりました。
絵画やパフォーマンスなどの創作活動を行うことで、学生たちは単なる受け手ではなく、主体的な学びの担い手となります。例えば、許准教授が実施する「Visualizing Peace(平和を可視化する)」プロジェクトでは、学生がそれぞれ思い描く「平和」を絵に描きます。この取り組みを通じて、学生たちは互いの作品に関心を持ち、相手の考えに丁寧に耳を傾けるようになります。さらに、言語能力の差に左右されることなく積極的な交流が生まれ、より包摂的な学習環境の実現につながっています。
国際関係論の導入科目では、「APUキャンパスに第二次世界大戦博物館を設計する」というグループプロジェクトが行われます。学生たちは、歴史認識の異なる可能性のあるクラスメートと協働しながら、さまざまな立場から歴史を振り返り、互いの意見を調整しつつ博物館づくりに取り組みます。この過程を通じて、学生たちは歴史を多角的に捉えると同時に、対話と協働の重要性を学んでいきます。
許准教授は外交官、研究者としてのキャリアの初期から、「紛争の原因」とされる文化的多様性を、いかにして「人類の最も美しい価値」の一つへと変えていけるかという問いを追求してきました。現在は教育と研究を通じて、学生たちに「人類を思いやる心(care for humanity)」を育もうとしています。授業設計から最終講義に至るまで、美学的な視点を通して国際関係論を学ぶことで、学生が平和の担い手として主体性を育み、世界政治への共感的理解を深めることを願っています。
「国際関係論で扱うテーマや課題は、世界の負の側面に目を向けることが少なくありません」と許准教授は語ります。「芸術を用いることで、学生たちは世界を新たな視点から捉えることができます。政治の厳しい現実に向き合わなくてはならないとき、試験やレポートといった文章表現ではなく、平和や和解をテーマに絵を描いたりパフォーマンスを行ったりすることで、学生たちは希望についてより自然に語り、表現することができるようになります。」
許准教授は、芸術を取り入れた国際関係論教育を通じて、学生たちが望む世界の姿を自ら描き、その実現に向けて主体的に行動する力を育んでいます。今回のBISA賞受賞は、こうした革新的かつ実践的な教育手法が、国際的に高く評価されたことを示しています。