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【JBCC】国際学生チームで唯一の日本人APS生が活躍できたわけ

読了時間: 7分

みなさんはビジネスケースチャレンジをご存じでしょうか?企業が直面する様々な課題の解決策を学生チームが競う大会です。出場学生のほとんどがビジネス系の学部の中、アジア太平洋学部(以下APS)の学びが活きた経験を共有したいと思います。

JBCCとは

2021年5月、指定された課題に対し、チームごとに解決方法をプレゼンテーションで競うAPU主催の「Japan Business Case Competition(以下JBCC)2021」に参加しました。私は、国際経営学部(以下APM)の学生3人と出場し、準決勝まで進みました。この大会は私にとって「自分のコンフォートゾーンとはかけ離れた場所で挑戦し、苦しくつらい経験もしたけれど、そこにとどまっていては絶対に得られなかった成長や自分自身について気づきを得た」大きなチャレンジでした。この経験の執筆が皆さんの新たな挑戦へつながれば良いなと思っています。

JBCCの賞状(掲載のために画像を加工しました。)

APS生なのに参加した理由

JBCCはビジネスに関する大会のため、もちろん普通はAPM生が参加します。しかし私はビジネスの知識や経験が一切ないまま参加してしまいました。 参加した理由は単純で、「仲の良い友達に推薦されたから!」です(笑)誘われた当初から「自分はビジネスレベルの英語が使えないから活躍できないし、足手まといになる」のは正直わかっていました。しかし、同時に「自分では無理だと思っているけれど、日常的に私と英語で話している国際生の友人が私を推薦してくれたのだから自分が考えているよりも私の英語は高いレベルにあるのかもしれない」、むしろ「足手まといになったとしてもそちらが私を推薦したのだから、別に私に非は無いでしょ」程の勢いもありました(笑)そのため(チームメイトとの信頼関係を築けた今だから書けますが)、「自分の実績と成長につながりそうだし、やってみるか」くらいの気持ちで参加しました。

三つの課題

なぜ私にとって大きなチャレンジだったのか、具体的に三つの課題に分け、その課題を乗り切った経験を通して皆さんに伝えたいことを紹介します。

1. 英語運用能力

チームのメンバーは私以外全員インド出身で、日本語基準は私だけでした。「日本語基準学生へ:英語開講授業を楽しもう! 20 年間日本で育った私はこう乗り切る」でも説明した通り、私は、18 年間日本で育ち、留学経験もないものの、もともと国際生の友達が多いため日常会話であれば不自由なく英語で意思疎通ができました。しかし、英語基準の学生(特にJBCCに参加するような熱心な学生たち)に比べると圧倒的に英語運用能力が不足していました。JBCCは、課題の分析から解決策の発表まで時間が制限されており、速く正確に課題の文書やインターネット内の論文などを読み、チームメイトに伝える必要があります。
この問題に対して、思い切って『機械に頼る』方法で大方は解決しました。具体的には、業界用語を『機械』に頼りました。課題の文書に関しては、google 翻訳を使っていますが、携帯のアプリではなくパソコンのgoogle翻訳では、PDF文書のまま翻訳する機能があると知りました。

2. ワークスタイルの違い

集団主義の日本で育ってきた私は、個人主義のインドの仕事スタイルに慣れず、何度も苦しみました。例えば、私はチーム全体のゴールを見据えて自分の意見を言っていましたが、私のチームメイトは各々個人が考える最適な意見を主張していました。その意見は私からすると突飛で協調性がないように見えることもありました。しかし、結果的に各々の意見を出してより良い案を作りだせました。私が伝えたいのはどちらのワークスタイルが秀でているかということではありません。良いチームワークや良い結果を生むためにそれぞれのメリットや妥協点を探ることが大事だと思います。個人的に、この経験の後に、サラザール先生(Robert C. Salazar, Ph.D.)の「Sociology of Organizations」授業を受けると、各国の組織体制などに対する理解や興味が深まりました。みなさんも、多国籍な環境、もしくは自分のバックグラウンドとは全く違う文化のコミュニティを経験したら、Salazar先生の授業をお勧めします(笑)

3. APM生にAPS生が混ざってみて ビジネス知識のないAPS生

前述の通り、ビジネスの知識も自信がありませんでしたが、その不安は杞憂に過ぎませんでした。なぜなら、APS生に求められていたものは、ビジネスの知識ではなく周辺環境や持続的な発展に関する知識だったからです。ビジネスの視点からミクロに物事をみるAPMの学びに比べて、環境問題や地域と世界のコミュニティベースで考えるAPSの学びは課題解決にマクロな視点で向かっていきます。つまり、就職してから関連性がないと思われがちなAPSの教育は、むしろ、これからの私たちに必要な課題解決のための考え方や知識を学んでいるとJBCCを通して学びました。

チームのメンバーと。(撮影時だけマスクとりました!!)

残った課題

先ほど述べた「APSの役割」からつながりますが、「なぜアジア太平洋学の視点が、ビジネスの課題解決に必要なのか」を具体的にメンバーたちに伝わるように表現できなかったため、自分の知識や多角的な視点を課題解決に活かしきれませんでした。またJBCCでは、環境問題についてAPSの学生に話すように「相手がこの問題が大事であるとわかっている前提」で意見してしまいました。先ほど述べたように、APMとAPSでは同じ事実を見ていてもそもそもの視点が違うため、共有している前提条件が違います。その結果、斬新な提案をしたのに関わらずメンバーたちにその価値が伝わりませんでした。

インターンシップへの挑戦

今後、JBCCで学んだ課題を踏まえ、協定型インターンシップに挑戦することにしました。私が挑戦しようとしているインターンシップは、ある酒造メーカーで大学生の目線からその企業が抱える課題の打開策を考えるというものです。私の提案を現場の方々に伝えられる、さらには実際にその企業の新しい政策になる可能性がある、つまりより実践に近い課題解決プロセスのなかで課題に取り組めます。このインターンシップではJBCCでの反省を活かし「自分のユニークな意見を上手に共有し他の案と組み合わせる」ことにより実現可能性の高い創造的な提案をしたいです。

最後に -新たな視点をもたらす仲間とのチャレンジ

様々な課題を乗り越えた経験は、私を成長させてくれました。これは確実に優秀で仲間想いのチームメイトがそばにいてくれたからです。彼らのおかげで、「私のモチベーションの源泉」つまり「頑張るべき理由」に気づけました。

その理由とは、わたしの長所である『既存のものも新しい視点で考えて、新たな価値を生み出す』能力が評価される環境です。私は、自分が他の考え方を持っていたとしても前の人が“A”と言ったら自分も“A”もしくは“A周辺”の発言をして、クラスの雰囲気を保つような典型的な日本文化をもつ環境を高校時代まで経験してきました。しかし、国際学生の中にいると、異論を発言する方が評価され、自分が“A”と考えていたとしても、前の人が“A”と言ったら“B”と言う新しい視点を必死で探す努力をするようになりました。そのような姿勢や視点をチームメイトは評価してくれて、私の意見を尊重してくれました。

これまで述べてきたことを踏まえると、「自分のコンフォートゾーンとはかけ離れた場所での挑戦は苦しくつらいことも経験します。しかし、そこにとどまっていては絶対に得られなかった成長や自分自身についての気づきを得られる」ことを皆さんにお伝えしたいです。やはりここで強調しておきたいのは、仲間の存在です。焦燥感故に、「仲間」を活動達成のための存在と考えてしまうときもあるでしょう。確かに目的を達成するために必要なものを理解して、実行する力は大切な力ではあります。しかし、その行動は誰かを巻き込んでいるという少しの意識を付け加えるだけで、彼らの配慮をする心の余裕が生まれ、パートナーたちと良い関係が築けると思います。

今回も私一人だけの力であれば、予選すら通過していなかったでしょう。それを可能にしてくれたのは仲間たちです。つまり、「自分のコンフォートゾーンを離れた場所での苦しい挑戦は、お互いに信頼している仲間がいることで成り立つ」のです。「『信頼できる仲間』なんてすぐにできるわけがない」と考えている人も多いと思います。もちろん、そうです。だからこそ、自分が信頼されるための努力を惜しんではいけません。大変ですが、大学生のうちは「挑戦できる」機会がたくさん用意されています。この機会を使わない手はないと思いませんか。

荒木 萌優
荒木 萌優

はじめまして!新しいことに挑戦することが大好きなAPS4回生です。日本語基準で留学経験のない純日本人です。国際生の友人たちと学術的な会話をしたいので、自粛期間を活かして英語の勉強をしています!今の状況が好転したら、またいろんなところに出かけるぞ~~!よろしくお願いします。




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