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APU卒業生インタビュー Vol.4 コロナ時代の教育とこれから

読了時間: 5分

APU生の皆さん、こんにちは!4回生の古森真麻です。
さて今回の卒業生インタビューでは、不登校生のための家庭教師・塾を運営する、藤野荘子(ふじのそうこ)さんにオンラインでお話を伺いました。特に現在、オンライン授業による家庭教師のシステムは、コロナ禍でアルバイトを失ったAPU生の就労支援という側面でも、テレビや新聞で注目されています。

リモートを通してNHKの取材を受ける藤野さん

藤野さんは、2019年9月に不登校生専門の家庭教師「あいむ」を立ち上げ、経済的理由で授業料が支払えない生徒や、様々な理由で外出できずにいる生徒の学習支援をされています。チューターとの1対1完全担当制で、小学生から高校生までが対象です。
「あいむ」を設立する上で「自分らしく生きていく」をビジョンとして掲げ、【レジリエンス(困難に立ち向かう力)を持ち、個性を活かして生きていける社会を作りたい】 という思いで取り組んでいると、藤野さんは言います。

今回の取材で、藤野さんが「あいむ」を始めたきっかけについて、そしてコロナウイルスの影響で感じた変化についてお聞きしました。

【藤野荘子さんプロフィール・APUでの活動】
アジア太平洋学部 2016年 卒業
出身:福岡県
学生団体:PRENGO、FLAG
ゼミ:銭先生の環境開発
卒論のテーマ:「日本の水技術の海外輸出について」休学中のバングラデシュで日本との生活環境の違を感じこときっかけとなり執筆。
卒業後:IT金融系の会社に3年間勤務
現在:「あいむ」の設立、運営を担う。主な業務としてチューターのマネジメント管理、マーケティング広報戦略等を行う。

まず初めに、「あいむ」を立ち上げようと思ったきっかけは何ですか?

APU在学中の社会階層論の授業で「日本は今7人に一人が相対的貧困状態である」という事実を知りました。その時すごく不平等だと思いました。少しでも平等な社会にするために何か出来ることはないだろうか、と思ったことがきっかけです。

家庭教師を始めるきっかけのもう一つに、APUの休学中に過ごしたバングラデシュでの経験があります。親がいない子ども、路上で立ちすくんでいる子ども、日本よりもはるかにひどい環境を実際に目にして考えさせられました。社会の課題は山積みですが、学習支援を通して少しでも平等な社会に変えていきたいと思います。

改めて、学習塾で教えているプログラムについて教えてください。

「あいむ」は国語、数学、理科、社会、英語の5教科に対応しています。現時点でAPU学生のチューターは13人(内全体のチューター数は27人) いて、APUの国際生は主に英語を担当しています。小中高生 一人一人のレベルも千差万別なのでそれぞれに合った学習領域のプログラムを教えています。

現在のWithコロナ、そして今後のAfterコロナを踏まえて、「あいむ」ではどのような方向性で進めていこうと考えていますか?

コロナウイルスの感染が拡大する以前は、オンラインで家庭教師をする予定は全くありませんでした。ですが、Zoomなどのオンラインプラットフォームの活用を余儀なくされてからは、オンラインの重要性を身に染みて感じました。今後は、現状のように対面とオンラインの両方を活用するハイブリッドスタイルで教えていく予定です。

APU生チューターはオンラインに移行したことについてどう感じていますか?

ほとんどのチューターが対面の方が良いと言っていますね。コミュニケーションが取りやすいことが理由ですが、やはり今の状況では仕方がないと感じています。一方でオンラインであれば、福岡に住んでいる生徒の他に、全国の生徒に学習を提供できるという発見がありました。個人的に、関西や関東在住の生徒にもオンラインを通じて教えることができたことが良かったと思います。

自宅で授業を行う藤野さん

学生にとってもオンラインであれば、実際に外へ出づらいと感じている生徒のプラスに働くかもしれないですね

その通りですね。通うことが難しい子に対してとても良いアプローチ方法だと思います。不登校生や学習障害を持った子、行動範囲が狭い子など、一人一人いろんな事情を抱えながら学習の場を探していると思います。そのような生徒に対してはオンラインから始めた方がコミュニケーションを取りやすく、学びに繋がる利点があると考えています。

今の日本の教育についてどのように考えていますか?

未だ公教育自体を変えることは難しいと思いますが、社会情勢の流れによってどんどん教育の受け方の選択肢が増えていると感じています。例えば出席の扱いです。以前は不登校生の「出席扱い」措置はありませんでしたが、近年は各市町村の教育委員会が持病を持っている子は、コロナウイルスの影響も伴ってオンラインで授業を受ければ出席扱いとなりました。フリースクールに通っている生徒もそうですね。場所に捉われない教育が拡大したことで、今後も選択肢の数が増えていくと思います。

最後にAPU生へメッセージをお願いします!

学生の醍醐味は「友人」そして「繋がり」だと思います。APUだからこそ出会える世界中から集まった学生と知り合って、世界を広げてみてください。そして是非、世界で起こっている社会問題や、国際課題についてディスカッションできる仲間を見つけてみてください。「私はこう思う」と自分の考えを共有できる環境がAPUにはあると思います。皆さんの学生生活がより有意義な学生生活になることを願っています!

関連リンク(日本語サイトのみ)

「お母さんのほけんしつ、始めます」発達障害や不登校に関する24時間相談できるプラットフォーム
https://www.npo-keydesign.org/hoken-shitsu-for-parents/?fbclid=IwAR0SabM8SzF4foWlv0QNW8BKFVb6QgAB4eDI-wFCofaBESdsTPbX4PFIPJc

古森 真麻
古森 真麻

皆さんこんにちは。古森真麻です。私は奈良県で生まれ育ち、2年間半の高校生活をアメリカのメリーランド州で過ごしました。週末は映画を観たり、温泉に行ったり、たまに登山をして過ごしています。2019年10月に由布岳に登り、次は九重連山に登頂することが目標です。SPAとしても今よりもっと広く楽しいものを発信していきますので、宜しくお願いします。




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