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交換留学中の休み期間に訪れたフィンランド。今回はそのフィンランドに交換留学した岡本杏梨さんへ留学のきっかけなどをインタビューしました。
岡本杏梨
サステイナビリティ観光学部3回生
広島県出身
岡本さんがフィンランド留学を決めたきっかけは、APU卒業生の週末北欧部chikaさん著作『マイフィンランドルーティン100』。その著作を読んで心動かされた理由を尋ねました。
岡本さん:私がChikaさんのエッセイを知ったのは高校生の頃何気なく見ていたSNS。人間関係に悩み、自分にとっての「ひとりの時間」と周りの人にとっての「ひとりの時間」の考え方にギャップを感じていました。「ひとり」でいることは自分には必要な時間なのに対して、しかし相手にとっては「ひとり」は苦痛なこと。自分の近くにいる人だったからこそ、価値観の違いに苦しみました。
そんなときに見たChikaさんの「マイフィンランドルーティン100」という本の一コマ。私は彼女の「ひとり」、「幸せ」という価値観に共鳴し、そのChikaさんが愛するフィンランドはどのような場所なのか知ってみたいと思い始めたのだと思います。
岡本さん:文化として魅力的な面はもちろんですが、印象に残っているのが日々の風景です。例えば、大学の授業が終わったあと、時に友人たちと、時に一人で大学近くのサウナに行き、湖でゆったり泳ぐ時間。日が沈むのをゆっくり眺めながら、ただ静かに過ごすそのひとときは、何より贅沢な時間でした。フィンランドでは「何もしない時間」が生活の一部として大切にされていて、その空気の中で過ごすうちに、自分のペースで呼吸できるようになった気がします。
岡本さん:フィンランド留学の経験を通して、大学で学ぶことの本質である「主体的な学び」を改めて見つめ直すことができました。留学先の大学でもAPUと同じようにグループワーク形式の授業が多くありましたが、決定的に異なっていたのは、最終発表や成果物に関する明確なインストラクションがほとんどなかったことです。
APUでは、プレゼンのテンプレートが用意されていたり、評価項目がドキュメントで示されていたりと、ある程度“ゴール”が見えていることが多いのに対し、フィンランドでは発表の形式も内容もすべて自由。せいぜい制限時間だけが決められている程度でした。そのため、最初は何をすればよいのか戸惑うことも多く、自分たちでテーマを設定し、問題点を洗い出し、解決策を考えるまでのプロセスに多くの時間を費やしました。グループ内で意見がぶつかることもあり、意欲の差に悩むこともありましたが、その試行錯誤の中で「自分たちで学びをつくる」という感覚を身につけることができました。この経験のおかげで、帰国後のAPUでのグループワークでは、より主体的に動き、活動を円滑に進めるためのファシリテーション力やタスク管理力を発揮できていると感じています。
岡本さん:フィンランドに行って一番変わった、というより改めて確信したのは「一人でいること」に対する考え方です。もともと私は人との関わりが少ない時間を寂しいと感じるタイプではありません。誰かと一緒にいることが楽しく、幸せである一方で、自分のペースで考えたり、静かに過ごす時間を大切にしたいという気持ちもある、矛盾したような価値観は、どこか理解されにくいものでした。そんな私にとって、「ひとり」の時間は価値ある当たり前のもので、時に友人たちと騒がしく楽しむフィンランドの暮らしは、とても自然で心地よいものでした。
帰国してから読んだChikaさんの別の著書で、私のこの結論は、「ロンリネス(消極的な孤独)」と「ソリチュード(積極的な孤独)」という言葉で説明されていました。以前の私が苦しんでいたのは、“孤独そのもの”ではなく、「ソリチュード」の価値が理解されにくい環境だったのかもしれません。フィンランドの人たちは、“一人で過ごす時間”を避けるのではなく、むしろ自分を整えるための大切な時間として楽しんでいました。その姿を見て、私もようやく“ひとりでいる自分”を素直に肯定できるようになった気がします。
今では、豊かな一人の時間も、大切な人たちと過ごす時間も、どちらも同じように心から大切にできるようになりました。以前はどちらか一方を選ばなければいけないように感じていましたが、今はそのバランスを自分の中で自然にとれるようになったと思います。フィンランドでの経験は、「静けさの中で自分を見つめ直す豊かさ」を教えてくれました。
次回は私の留学の時間の使い方について紹介します。
こんちには!アジア太平洋学部3回生のまゆみです。大学の魅力や、1年間のイギリス交換留学について発信し、APUへの進学や新しい挑戦を考えている読者の皆様に何かきっかけを与えることができたらと思っています。よろしくお願いします。