2018年度 科学研究費助成事業による研究 No.8

研究課題:説得的コミュニケーションによる外国人観光客の普及啓発-地獄谷野猿公苑の事例研究

研究代表者:Jones Thomas

研究内容

保護地域に関する私の研究は、近年ワイルドライフ・ツーリズムの分野にまで広がりを見せている。ワイルドライフ・ツーリズムにおいては、人間の存在が、野外の放飼場で飼育されている野生生物、特に霊長類に悪影響を及ぼしている。本研究は、管理者、ガイド、観光客から得た実験データを使用し、日本で最も人気があるモンキーパークの一つである、長野県地獄谷野猿公苑を事例として、説得的コミュニケーションが、観光客の責任ある行動を促し、とりわけ増加の一途をたどる訪日外国人観光客とのコミュニケーションにおける管理課題を軽減できる可能性があるかを調査する。

研究動機

本研究には実践的及び学術的ニーズがある。モンキーパークは成功したが、餌やりの悪影響、増加する訪問者数、不適切な行動が批判を呼んでいる。餌やりはサルの生態、行動、群れのサルの増加に影響を与える。サルの個体数が増加すると、それが群れの生育環境を圧迫し、自然の食料が減少する。そしてサルが農作物を荒らす結果、サルの殺処分の可能性につながる。食料供給源の周囲に多くのサルが集まることで餌やり競争を激化させ、結果として「社会的ストレス」をひき起こす「混み合い効果」となる。空間的競争もまた、パーク内及び周辺での霊長類と人間との間の距離を近づけ、観光客とニホンザルを巻き込む事故が増加する結果となっている。ニホンザルに餌をやっていたビジターが、餌をさらに求めるサルに追いかけられたり、襲われたりする事故が多発している。これは訪日外国人の急増に起因する重大な問題である。これを受けて様々な対抗策が試みられたが、公園管理者は増加する訪日外国人観光客への普及啓発に苦戦している。

研究の特色と意義

本研究の目的は日本及び海外からのワイルドライフ・ツーリズムの観客に対する様々な情報伝達メッセージの有効性を検証するために調査することである。本研究の独自性は、説得的コミュニケーションサービスを使用して、人間と野生動物の相互作用を軽減するという点にある。実践的意義は、責任ある行動をするよう観光客に訴えかける、より効果的なコミュニケーションを確立するために、公園管理者が発信する情報を改善するところにある。現在までに商用目的での海外からの渡航者に行った簡単なマーケットリサーチがあるに過ぎない。我々はこの研究目標に沿った、日本語での文献調査を行い、主な情報を英語に翻訳しつつ、英語、日本語、中国語での学術的アンケートを作成する予定である。


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