2018年度 科学研究費助成事業による研究 No.7

研究課題:地域との協働で創るグローバル市民育成モデルの開発

研究代表者:廣津 公子

研究内容

APUは、80以上の国と地域から集まった留学生が学生全体の約半数を占めており、多様性に満ちた学習・生活環境に恵まれています。その反面、このような環境に身を置く時間が長くなることで、留学生は日本に留学すれば当然得られるはずの日本語の使用機会が限定され、地域との接点も減ってしまうという現状があります。実際に、これまでの我々の研究で、留学生が地域や地域住民とつながる難しさを示す結果が得られています。しかし、同時に、グローバルな視点で地域の問題に取り組み、ローカルな課題を解決することのできる留学生がいることもわかってきました。そこで、本研究では、共同体をより良くするための課題を見つけ、責任を果たすことができる者をグローバル市民と定義し、地域で活躍している人々がグローバル市民になる過程で経験した共通項を抽出して、疑似体験できる参加型プログラムの作成と有効性の検証を行います。本研究は、本学の板橋民子特任講師との共同で行い、グローバル市民として必要な資質の養成を試みます。

研究動機

APUでは2000年の開学当時から、日本語の授業に地域住民のボランティアを招き交流会を実施してきましたが、その交流会の効果を検証した井上他(2014)で、その場だけの交流にとどまらない人間関係構築の必要性が示されました。これを受け、継続的な交流の場を創出する試みとして、学外に場を設けて交流の輪を広げる試みを行いましたが、廣津他(2016)では、多くの留学生が地域や地域住民とつながっていないことを窺わせる結果が出ています。ゆえに、2016年より日本語中級クラスでの課外活動として「まち歩き」を企画し、留学生を地域に誘い出す試みを始めました。その中で、活動を通して町への愛着が芽生えたり、自国の他の地域と比較し、地域を客観的に再評価したりする視点を養っている留学生の存在が明らかになりました。また、2016年4月16日に別府市を襲った大地震について調査した本田他(2016)においては、地域で自分の役割を見つけ、地域の若い力として地域住民を支える役割を果たした留学生がいたこともわかってきました。こういった一連の調査の中で、町を知り、町とつながることで養われるグローバルな視点の重要性を認識するとともに、グローバル市民とは何か改めて問う必要性を感じたことから、その資質の分析と資質が育つ過程の検証をすべく、本研究の着手に至りました。

研究の特色と意義

本研究で得られた知見は、国際化の勢いを増す現代社会において、グローバル市民とは何かを問い直し、大学教育が歩むべき道筋を示すことで、多文化共生社会に寄与するものと考えます。


ページトップへ戻る