2017年度 科学研究費助成事業による研究 No.8

研究課題:Post-disaster Destination Image: Marketing, Communication and Sustainable Recovery

研究代表者:BUI Thanh Huong

研究内容

本研究では、2016年4月に熊本地震によってインフラが破壊された後の、大分・熊本両県の観光地としてのイメージ、外部との関係性、そして持続可能な復興を調査します。地震と同時に災害をめぐる悲観的な報道が人々を怯えさせ、九州方面を旅行することに対する不安や安全性への懸念といった風潮が広がりました。このような風評被害は長期に渡って、行政や観光産業が回復に向けて適切な政策を効果的かつ効率的に実施するにあたり、大きな障害となっています。

また、現在の研究では、過去の東北とニュージーランドのクライストチャーチでの経験がどの程度九州復興に手がかりとなるのかも模索します。被災後の地域復興の事例研究が、2011年の東日本大震災による被災地のひとつである宮城県気仙沼市で実施されました。ステークホルダーの協力、商品開発戦略および同地域にある観光地としてのマーケティングなどから生まれた教訓は、持続可能性と地域密着型のアプローチに特に焦点を当てることで、観光産業の統合による復興の推進に向けた計画に対する示唆に富んでいます。またクライストチャーチにおける実地調査によって、日本のアプローチと海外の施策の類似点と相違点を検証することができました。

研究動機

本研究は、関連性の高い専門知識と経験を持った研究チームが主導しています。私は研究代表者として2016年8月に熊本地震が主要観光地にもたらした影響について初歩的な調査を実施しました。東日本大震災以来、APUは気仙沼市と災害対策・管理に係わる協力協定を結んでおり、またオーストラリアの大学院での研究を通しクライストチャーチで築いた私自身のネットワークもあり、気仙沼とクライストチャーチのふたつの調査場所を選定しました。筒井准教授は、地域住民と在日外国人間の異文化間コミュニケーションを円滑にするため別府市役所と連携しており、また、日本語のメディア談話分析とステークホルダーとのインタビューを担当しています。上原准教授は、熊本地震の被災者生活再建支援のため、2016年半ばから熊本に学生ボランティアを派遣しており、ステークホルダーと企業・官庁職員とのインタビューからデータ収集をしています。マヒチ准教授は、持続可能な開発とエネルギー消費のエキスパートであり、有害な恐れのある化学物質の環境への放出に及ぼす地震の影響を調査しており、さらに持続可能性の指標と計測手法の構築を担当しています。

研究の特色と意義

私たちの研究は、(国際的)観光がますます重要となった被災地熊本と大分を分析することにより、観光産業と災害対策・管理の間の「失われたつながり」にタイムリーにスポットライトをあてるものです。本研究は、イメージ回復についての理論と、震災の余波に立ち向かっている地方の観光地における持続可能な暮らしの指標の評価基準を今後構築していきます。また、気仙沼とクライストチャーチの復興に関する比較研究は、地方の観光地の持続可能な生活復興の成功モデルを示す際の熊本と大分の独自性を際立たせることになります。大分に暮らす私たちは、地震の被災者となる体験をしました。この研究では大分の継続的な復興を支援することで、観光業、コミュニケーション、ビジネス、開発の専門知識を地域社会に還元します。


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