2017年度 科学研究費助成事業による研究 No.1

研究課題:日本の世界農業遺産(GIAHS)地域の観光を通じた農村振興に関する比較研究

研究代表者:四本 幸夫

研究内容

世界農業遺産(GIAHS)は、国際連合食糧農業機関(FAO)の認証制度によいって、日本では8 地域(佐渡、能登、静岡、国東半島・宇佐、阿蘇、長良川、みなべ・田辺、高千穂郷・椎葉山)が認定されました。日本政府も農村振興に貢献できると考え、認定拡大に向けて2016 年度から国内認証体制を整備しました。私の研究は、これら8 地域で、国内・国際観光を通じた農村振興がどのように進められているかを比較研究し、その課題やベストプラクティスを見出し、そこから農村振興に役立てるモデルを構築することを目的としています。具体的には、観光を用いた農村振興に関して:
(1)8 地域共通の課題とそれぞれの地域特有の課題を明らかにする。
(2)コミュニティ・ベースド・ツーリズムのベスト・プラクティスを見出し、その要件を明らかにし、地域に役立つモデルを提示する。
(3)ユネスコ世界遺産との相違を明らかにする。

研究動機

日本での世界農業遺産認定を契機とする観光を用いた農村振興を総合的に扱った研究はほとんど見られません。海外の研究で観光関連の論文はありますが、それらは社会的状況の異なる中国のケースや日本のケースでも観光の可能性の言及に留まっています。そのため、この分野を開拓する意義が深いと考えます。
「世界農業遺産と観光資源の活用による農村振興の研究分野に貢献する」という目的を達成するために、私はフィリピンの少数民族であるイフガオ族の棚田が世界農業遺産の認定を受けた年に観光の研究を行い、現地の人々へのインタビューから遺産認定と観光の関係のデータを収集しました。研究パートナーであるVAFADARI M. Kazemも世界農業遺産研究では日本と世界で主導的な立場にいる観光研究者であり、国連大学のSATOYAMA イニシアティブに参加し、「能登の里山里海」と「クヌギ林とため池がつなぐ国東半島・宇佐の農林水産循環」の世界農業遺産認定に向けてのプロセスに関わるなど、二人とも必要な専門性を持っています。

研究の特色と意義

人口減少と高齢化が急速に進む日本の農村社会には地域活性化が肝心です。観光まちづくりは日本の過疎地域に有効な対策のひとつとして期待されています。観光まちづくりの成功には観光資源の発掘と宣伝が不可欠ですが、私の住む大分県をはじめとする世界農業遺産認定地域に埋もれていた地域資源を発掘し、観光に繋げようと考えています。


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