学長ノート

卒業生へのメッセージ

2015/09/11

是永 駿 第3代学長

今日晴れてAPUを卒業する皆さんに、心からの祝福の言葉を贈りたいと思います。

APUは創立から15年、これまでの日本の大学の枠組みを超えたユニークな存在として、日本の高等教育の国際化を牽引してきました。私たちが築きあげてきた多様性あふれる国際的なキャンパス、主に社会科学にフォーカスして、理論と実践との融合をめざしてきたユニバーサルな学問、日々の生活の中で育まれてきた異文化への理解、そして、多様性を超えて世界市民として生きるグローバルな意識の芽生え、それらすべてがAPUの校風を生み出すたいせつな要素です。

これからの10年、20年をどう展望し、どのような大学をめざすのか、私たちは昨年度、一年をかけて、教員、職員、学生、校友がいっしょになって、議論を重ねてきました。そして、「2030ビジョン」、「2020後半期計画」を策定しました。私たちは今、何をめざし、何をしようとしているのか。ひとことで言えば、国際的に自由市場化した世界の高等教育の中で、選ばれる大学としてのステイタスを確立するために、ほかの大学との差別化を進め、真の意味でグローバルな大学に進化することです。そのためには、校友の皆さんとの協力が欠かせません。卒業生が活躍する姿が在学生を導く教材となり、卒業生のもとでインターンシップができればさまざまな可能性が開けます。そうした協力関係、ネットワークを作り上げていく中で、ひとりひとりの力がひとつの層を形成して、やがて2030ビジョンのテーマ、「APUで学んだ人たちが世界を変える」というAPUの究極のビジョンに近づくことができると思います。

大学は、その大学が誇る専門性、キャンパスで育つ人間性、そして社会の改革に役立つ先進性で、その大学の存在価値が決まるのだと思います。APUがめざす人材像は、専門性、人間性、先進性を身につけ、互いの違いを認め、対話を軸に衝突や対立を乗り越えて、共に平和的な世界を築いていく「世界市民」です。世界的な経済学者ピーター・F・ドラッカーが20年ほど前に、ユニバーサルであるとともにローカルである人間、それが世界市民 “a citizen of the world” だと予言しています。APUの人材像はまさに、ドラッカーの予言を現実のものにしていると言えるでしょう。ドラッカーはこうも言っています。教養ある人間は知識人であるとともに経営管理者である、ふたつの文化を同時に生きる人間であることが求められるであろう、と。私はこの予言も優れたものだと思います。知的であるとともに、ものごとを管理できる人間であることが求められることになる、とドラッカーは言っているのです。その予言から20年後に、それがこのグローバル社会で現実に求められる人間像となっているのです。

皆さんがAPUで学んだこと、ユニバーサルであるとともにローカルであること、知的であるとともに管理能力を具えていること、それがこの現代社会が求めている人材であり、APUはそうした人材育成の理想的な場、スポットなのです。最高の教育コンテンツを具えたスポット、すなわちAPUのキャンパスが、日本でそしてアジアで最高のスポットなのです。APUの卒業生としての皆さんの人生が輝かしいものであることを祈っています。



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