講演・シンポジウム|来学者
2010/7/16
2010年7月15日(木)、2006年にノーベル平和賞を受賞したグラミン銀行総裁 ムハマド ユヌス氏を迎え、APUミレニアムホールで「貧困のない世界を創る」と題したアジア太平洋国際学会設立記念講演会を開催しました。
ミレニアムホールに集まった大観衆を前に、ユヌス氏はマイクロクレジットと呼ばれる無担保小額融資の開発に至ったきっかけについて紹介しました。教授はバングラデシュの貧困層が直面するヤミ金融の問題を目の当たりにし、彼らの借金返済のために27米ドルを提供したと話し、人々がこのような小額の負債にいかに苦しめられているかに驚くと同時に、彼らを貧困の連鎖から解放し喜びを得たと説明しました。
この経験を通してユヌス氏は、担保もなくローンの返済も出来ない人々への融資を恐れる銀行から、お金を借りることができない貧しい人々の苦境を説明しました。そして、「銀行は、本当に融資を必要としている貧しい人々がいるにも関わらず、すでにお金のある人にだけ融資を行う」と説明しました。
そしてこの問題に対峙し、貧しい人々が貧困の連鎖から逃れ、所得を生み、冨を築くことを可能にするマイクロクレジットを通して、貧困のない世界を創るという決断について話しました。
続いて、ユヌス氏は 利益を巨大化させず、社会問題の解決を目的として開発された持続的かつ自立的なビジネスモデル「ソーシャル・ビジネス」の概念について紹介しました。
ユヌス氏は、マイクロクレジットの採用に否定的な銀行を説得するという数え切れない努力の果てに、彼自身が銀行を設立することを決意し“グラミン銀行”を創設、無担保小額融資の事業を始めました。世界中で貧困に直面する人々の問題解決には、簡単で単純な方法を取ることが重要だと強調する彼の功績は証明されました。グラミン銀行によって開発され、バングラデッシュの小さな農村から始まったマイクロクレジットの手法は、今では世界中に支店を持つほどに拡大しています。
引き続き行った質疑応答の後には、会場を移して行われた学生との意見交換の場も設けられ、学生たちは事前に行ったワークショップを通して考えた独自のソーシャル・ビジネスのプランを紹介し、ユヌス氏から直接、助言を受ける機会もありました。
講演会はAPU学生にとって、マイクロクレジットとソーシャル・ビジネス、貧困の緩和の分野における第一人者から直接、話を聞く素晴らしい機会となりました。また講演終了後、ユヌス氏には、APUの教育・研究の高度化を支援する “アカデミック・アドバイザー”に就任いただきました。
当日参加できなかった方も、下記のURLより講演会を視聴いただけます。ぜひご覧ください。
http://www.ustream.tv/channel/apu-channel
APU学生広報スタッフ<Student Press Assistant(SPA)>