APUは、2020年に開学20周年を迎えます
ご挨拶

立命館アジア太平洋大学長
学校法人立命館副総長・理事
出口 治明Deguchi Haruaki
APUは、アジア太平洋地域の未来創造に貢献するグローバルリーダーを育てるという使命を掲げ、大分県と別府市、さらに国内外の広範な皆さんの協力のもと、2000年4月に開学しました。
そして、2020年に、開学20周年を迎えます。この節目の年を迎えることができるのも、ひとえにこれまでAPUを応援してくださった皆さんのおかげです。心からお礼を申し上げます。
APUは、2015年に、APU2030ビジョン「APUで学んだ人たちが世界を変える」という旗を高く掲げました。すなわち、APUで学んだ学生が世界中に散らばり、自分のやりたいことや好きなことに打ち込めるそれぞれの持ち場を見つけて、APUで学んだことを生かしながら自分の頭で考え、それを行動に移すことによって世界を変えていく。チェンジメーカーを育てていくということがAPU2030ビジョンの掲げる理念です。2020年は、次の10年、2030年に向かう重要な節目の年です。このAPU2030ビジョンという旗に向かって、学生、卒業生、地域の皆さんをはじめとするすべてのステークホルダーの皆さんと連携を密にし、心を合わせて、APUの世界における地位を高めるべく着実にマイルストーンを置いていきたいと思います。既に、観光系の新学部の創設を柱とするプロジェクトチームが動き出しています。
世界中へ羽ばたいていった卒業生、今、APUで学んでいる学生、教職員、地元大分県や別府市の皆さん、卒業生や学生の世界中にいるご家族、未来のAPU生、そしてAPUを支援してくださるすべての皆さんと繋がって、APUの20周年を祝いたいと考えています。そして、一緒に手を携えてもっと楽しい、もっとワクワクドキドキする、もっと学べて、もっと愛されるAPUを創っていきましょう。
「アジア太平洋地域の未来創造に貢献するグローバルリーダーを育てる」という開学時からの想いは、今もこれからも変わることはありません。APUの挑戦はまだまだ続きます。これからもAPUへの温かいご支援をどうかよろしくお願いいたします。

これまでの歩みはこちら
歴代学長からのメッセージ
立命館アジア太平洋大学開設20周年にあたって
2020年10月
APU初代学長 坂本 和一
(任期:2000年1月~2004年3月)
立命館アジア太平洋大学(APU)が開設されたのは、今から20年前の、2000年4月のことでした。それは、大分県別府市十文字原という、それまで住む人のなかった草原での、前史ない、白紙からの出発でした。2000年4月、あの広大な十文字原に集まったのは世界35の国・地域から集まった一期生春期入学の約700名。APUの歴史はここから始まりました。それから約20年、APUは今や常時約6,000名の若者が全世界の約90カ国・地域から集まる、世界に誇るグローバル大学となりました。
APUは、学校法人立命館が地方自治体(大分県および別府市)と協力し、立命館学園創立100周年を記念して設立されました。APUは、日本の大学として、来たるべき時代に相応しい国際貢献を果たし、同時に日本の大学の国際化に新境地を切り開くという志の下に、学生の半数、一学年400名(開設当時。2020年には660名)を海外からの留学生(APUでは通常、「国際学生」と呼んでいる)として迎えるという考えを基本コンセプトとして組み立てられた、日本ではじめての本格的な国際大学です。
APUでは、教育プログラム、使用言語、教育組織、キャンパス・インフラ、大学を構成するすべての条件が、この「学生の半数を国際学生で構成する」という考えを前提として構築されています。
1990年代後半、このような新大学の構想が学内、学外に打ち出されたとき、それが目指す志への積極的な評価と同時に、この時点でそのような構想を一気に実現することは困難ではないか、もっと率直にいえば「無謀ではないか」という声が各方面から上げられました。
APU開設の具体的な準備は1995年から本格化することになりましたが、それは学内的にも社会的にも、「夢」と、「難しさ」「不安」が入り交じった複雑な雰囲気のなかでの出発でした。1997年後半から、日本への国際学生(留学生)の大部隊の送り出し元であるアジア全域を襲った通貨危機、経済危機は、APUプロジェクトの先行きをより一層不安にするものでした。
そのような社会状況もあり、開設当初には、APUへの進学を目指した高校生は、「そんなところへ行ってもいい就職がない!」と高等学校の先生から反対され、親からも「いい顔をされない」ような、つらい経験もしました。しかし、「WE CAN DO IT!!」のかけ声の下、このような時代に耐え、幾多の困難を克服し、今日のAPUを築いたのは、自らの大学進学の選択に誇りと自信を持ち、到来する「アジア太平洋の時代」という世界史の大道に確信を持った、他ならぬAPU学生一人一人でした。
「未来を予測する最良の方法は、自ら未来を切り拓くことである」という言葉を残したのは経営学、文明論の泰斗ピーター・ドラッカーですが、私はこの言葉を2000年4月の最初の入学式で一期生に贈りました。
学生諸君のAPUを育てる頑張りを思うとき、さらに彼らの成長を暖かく見守り応援して下さっている地元別府市民の皆さんの温かいまなざしが脳裏に浮かびます。APUを別府で開設することになったとき、責任者だった私の心配の一つは、地元市民の皆さんと世界から集まる学生がうまく折り合っていけるかどうかということでした。しかし、それは杞憂でした。いま大分、別府では、APUの学生諸君が地域に馴染み、地域の発展にも高い関心を持って貢献しようとする姿を見ます。そして、世界のどこにいても「APUに帰ろう。別府に帰ろう」と、APUと別府を思う熱い心を共有しています。
地域が学生を育て、学生が地域を盛り上げる。その中で、学生は社会を変える力を身につけていく。未来志向の、大学、学生と地域との共存の理想的な形の一つが、ここにあります。私はこれを、頼もしく、また誇らしく思っています。
いま世界中が新型コロナウイルスの感染症の暗雲に覆われています。しかしこのような暗雲も人類の英知と努力で、遠からず晴らされ、人々はコロナ後の新しい社会の創造に歩み出すでしょう。その時のために、APU生の皆さんも、APU校友の皆さんも、いまこそ力を磨き、蓄えていきましょう。
皆さんのご健闘を心から祈念いたします。
APUの魅力とそのイメージ
―創立20周年を記念して―
2020年11月
APU第3代学長 是永 駿
(任期: 2010年1月~2017年12月)
APUは日本列島の麗しい南の島九州の大分県別府市に立地している。国際観光都市別府の、海を見渡せる高台に立地していることは、APUの開放的なイメージを構成する大切な要素である。十文字原の台地に展開するこのユニークな大学を俯瞰する絶景は、APUのかけがえのない存在を象徴している。首都圏からは離れているが、その適度な距離感が却って、他に類を見ない唯一の存在としての独立性を保つ効果をもたらしている。
APUはその存在そのものが人間社会の普遍的価値に直結している。現在の人間社会は、差別、分断、敵視等の、自己と異なる他者を疎外する動きが加速している。新型コロナウイルスは、その疎外へと走る現代人の意識に、生存に関わる根源的な恐怖を呼び覚ました。大学は、徹底した防疫システムとともに、対人接触の柔軟な規律を工夫するなど教育・生活空間の見直しを迫られている。オンライン授業を併用しつつも、大学のキャンパスは、帰属意識の集約点、シンボルとしての意味を強めるだろう。いつどこで感染するかもしれないウイルスに対抗するためには、自己防衛の意識とともに、誰もがウイルスと闘う同じ人間なのだという意識を持つ必要がある。この、同じ人間であるという意識は、人間としての存在をお互いに認め合うという根本的な共存意識、ヒューマニティの意識であり、その人間の精神の自由と存在の尊厳を認めあうことである。それは、差別や分断の意識を打ち消し、人間が求める精神の自由という普遍的価値に直結する。それはAPUの建学の理念そのものであり、APUの存在そのものが人間社会の希望につながっているのだとも言える。経済利潤を求める資本のグローバル化は、結局、偏狭なナショナリズムを克服できないばかりか、却って覇権的な経済侵出とウイルスのパンデミックの引き金となった。今もっとも探求されるべきことは、精神の自由を求め、人間のあるべき姿を求める、ヒューマニティの意識のグローバル化である。国際法にもとづく平和共存も、その意識があって初めて実現する。分断を煽る差別、精神の自由を踏みにじる圧政に打ち克つためにも、ヒューマニティの意識に鍛えられた真のグローバル市民が求められている。
APUの魅力、その核心は、多様な国籍の学生、教員が、人文社会科学の分野で、国際認証を獲得したコースを含め世界レベルの高度なカリキュラムを実践する教育の現場にこそ宿っている。そこでの、人間の普遍的価値を確かめ、発見する営みこそが、強力な磁場となって、世界に発信される。教室風景、教員のメッセージ、学生の意志、それらがこの大学の存在の意味を解き明かす。そして、課外の祝祭としてのマルチカルチュラルウィークのグランドフィナーレでの、APUの多様性とエネルギーが弾ける舞台も、世界からAPUをめざす学生にとって、人間であることへの讃歌をその胸に呼びおこすであろう。APUに栄光あれ。
ニュース
チェンジメーカー
APUで学んだ人たちが世界を変える。
イベント

- 20周年記念ロゴマークのコンセプト
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APUに集まる人と、卒業後に世界で活躍の場を広げていく様子を、矢印をモチーフに表現しました。
- 20周年記念キャッチフレーズのコンセプト
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積み重ねた20年を元に、進化し、これからも長い歴史を築いていくAPUを表現しました。