検索ワードを入力してください。
2025/09/26
新入生の皆さん、立命館アジア太平洋大学へようこそ!皆さんは、学びや成長、発見の機会に満ちた、刺激的な新しい人生のステージに進むもうとしています。本学が誇る、多様性と活力に満ちた学習環境は、皆さんを鼓舞し、そしてインスピレーションを与えてくれるでしょう。
こうしてAPU学長として皆さんを歓迎していると、47年前に東京大学の新入生だった私自身のことが思い出されます。私は自分に対して漠然とした期待を抱いていましたが、何がしたいかは分かっていませんでした。シャイだった私は、友達づくりにも苦労しました。しかし、その数年後、米国史を専攻したいと願うようになりました。UCLAへ一年間留学する機会もあり、この留学が学者としての国際的なキャリアへの道を開いてくれました。ひいては、現在の私へと導いてくれたとも言えます。
私の学生時代と比べると、本学の環境が有する資源ははるかに豊富です。皆さんはキャンパスライフを通して多様な文化と価値観に触れることになります。キャンパスを歩けば、何十もの言語での会話が聞こえてきます。学生寮では、日々の生活が文化的交渉と異文化発見の最前線となります。学生同士でもめることもあると思います。ですが、あらゆる些細なトラブルを通して、他者を理解する方法や、異なる価値観や暗黙の了解を解釈する方法、新しい観点から自己を理解する方法を学ぶことができるということを忘れないでください。世界に対する知識を深めていくなかで、人格も高まっていき、生涯にわたる友情を築くことができるでしょう。大分県ならびに別府市の人々は、あなた方APU生に親切に接し、注意深く見守ってくださいます。第二の故郷となる別府市を大切にしてください。新入生のご家族の皆様も心から歓迎いたします。湯治という独自の文化を誇る別府市をぜひ楽しんでください。
これから皆さんのAPUでの旅が始まるわけですが、世界では国際協力という、まさにAPUが築き上げてきた価値観に対する重大な課題に直面しています。今年は1945年の第二次世界大戦終結から80周年にあたります。第二次世界大戦は、人類を互いに敵対させ、都市を破壊し、何百万もの人々に未曾有の戦争の恐怖をもたらしました。こうした紛争を防ぐため、各国は国連などの国際機関を設立し、対話と協力を通じたメカニズムを構築してきました。これは、紛争の回避だけでなく、貿易の拡大を通じた相互依存を促進するためでもあり、各国はこれまでに飢餓、貧困、感染症の撲滅にも取り組んできました。煩雑で費用もかかるものの、この精緻なシステムは、人類の生活全般の繁栄と幸福の向上に貢献してきました。
しかし、世界の指導者たちは、自国の利益のことだけを考え、紛争を武力で解決することもやむを得ないと主張し、国際協力を拒否する傾向が強まっています。これは人類にとって大きな脅威であり、未来のリーダーである皆さんの役割はますます重要になっています。私は、APUが平和な世界への希望の光となることを願っています。本学の使命は、アジア太平洋地域内外の持続可能な発展に貢献できる、世界レベルのリーダーを育成することです。私たちは「自由・平和・ヒューマニティ」、「国際相互理解」、「アジア太平洋の未来創造」という基本理念を掲げており、教育課程からキャンパスにおける様々な活動まで、本学のあらゆる活動にこの理念が反映されています。
大学という場において、主役は学生の皆さんです。大学は、皆さんの学びをサポートします。授業、教員、課外活動、グリーンコモンズ、言語自主学習センター、図書館など、APUのリソースを最大限に活用してください。良い成績で124単位を取得して卒業するだけで終わらないでください。授業で興味を惹かれるテーマがあったら、それは人生の宝物に出会った証です。授業中に質問したり、オフィスアワーに教授を訪ねてより深い学修について相談したりしてください。APUでの日々を大切に過ごしてください。常に新しいアイデアに出会い、新しいことに挑戦し続けてください。留学プログラム、学内外の研究プロジェクト、協働研究指導、そして25カ国以上から集まった国際色豊かな教員陣を最大限に活用してください。
卒業する頃には、皆さんは「世界を変える力を持つ」人間になっているでしょう。そして、世界中の同じ志を持つ人々と協力し、人類と地球のより良い未来を創造していくのです。APUの学生として、そして未来のリーダーとしての成長は、今日から始まります。さあ、最初の挑戦を提供します。今日この式典を去る前に、違う国から来た人に自己紹介をしてみてください。
ご清聴ありがとうございました。あらためまして、立命館アジア太平洋大学へようこそ!
2025年9月26日
立命館アジア太平洋大学
学長 米山 裕