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2026/09/25
新入生の皆さん、立命館アジア太平洋大学へようこそ。
皆さんがここにたどり着くまで支えてくださったご家族、保護者、ご友人の皆様————この会場の方も、遠くから見守ってくださっている方も————ありがとうございます。今日という日は、皆さんのものであると同時に、その方々のものでもあります。
この午後から、皆さんはAPUコミュニティの一員です。周りを見回してみてください。この会場には、皆さんが聞いたこともない言語を話して育った人、食べたこともない料理を日常的に食べている人、学んだこともない歴史を祖父母が生きてきた人がいます。4年後、皆さんがこの十文字原の丘を下りて世界へ出ていくとき、皆さんはその人たちのおかげで、別の人間になっているはずです。これはスローガンではありません。APUでは、本当にそうなるのです。
しかしその前に、いま終わったばかりのこの夏について話さなければなりません。
8月26日、ネパールとチベットの国境地帯で、巨大な岩と氷の塊が山腹から1キロメートル以上下の谷へ崩落しました。その衝撃はあまりに激しく、世界各地の地震計が地震として記録したほどでした。続いて押し寄せた水と泥と瓦礫が、いくつもの集落を数分で消し去りました。当局の統計は毎日のように更新されていますが、現時点で、1,500名近くの死亡が確認されています。約6,300名が行方不明で、その中には多くの国の人々が含まれています。APUには80名のネパール出身の学生が学んでおり、その中には、今日この会場に座っている人もいます。
7月28日には、はるかに身近な場所で、マグニチュード7.1の地震が熊本を襲い、最大震度7を記録しました。38名の方が亡くなりました。建物が倒壊し、橋が落ち、被害は皆さんがこれから暮らす大分県にも及びました。8月から9月にかけて、記録的な豪雨や相次ぐ台風の被害により、日本各地で深刻な洪水や土砂崩れが発生しました。
一方で、世界では深刻な公衆衛生上の緊急事態が続いています。コンゴ民主共和国では、5月に始まったエボラ病の流行が、同国史上最大規模となっています。確認された感染者数は7,700名を超え、3,700名以上が亡くなりました。
この夏、大切な人を失った学生の皆さん、被災地にいるご家族を案じている学生の皆さんへ。本学を代表して、心からお悔やみとお見舞いを申し上げます。皆さんは1人でそれを抱えているわけではありません。APUには皆さんを支える体制があります。1人で黙って抱え込むよりも、早めに助けを求めてほしいと思います。どうか、私たちのところに来てください。
皆さんに、今少しの間、その方々のことを考えていただきたいと思います。
皆さんには、入学初日に、心地よいだけの話ではなく、本当のことを聞く権利があります。
気候は変わりつつあり、その変化は災害という形で到来しています。ネパールの崩落を調査している科学者たちの見解は明確です。地球温暖化が、何千年ものあいだ高山の岩と氷をつなぎとめてきた永久凍土を融かしつつある、と。山が温まるにつれて、こうした災害が起こる確率は年々高まっていきます。この夏、西ヨーロッパは観測史上最も暑い6月と7月を記録しました。そしてネパールは、地球温暖化にほとんど責任がないにもかかわらず、最も早く、最も深く傷つけられているのです。
ある場所で始まった病気は、もはやその場所にとどまりません。コンゴでの流行は、承認されたワクチンも治療法も存在しないエボラウイルスの一種によるものです。それはウガンダに広まりました。帰国した医療従事者を通じてヨーロッパにも達しました。そして、紛争と避難民の問題をすでに抱えていた地域で、最も速く広がりました。感染症というものは常に、人々の間の信頼が壊れ、社会制度が最も弱っている場所で、最も遠くまで進むからです。
武力紛争が、再び当たり前のものになりつつあります。ウクライナでの戦争は交渉が停滞したまま5年目に入りました。ガザでは昨年10月から停戦が維持されていますが、国際連合は現地の状況をなお崩壊寸前であると表現しています。2月以降、アメリカ合衆国とイランのあいだで戦争が続き、ホルムズ海峡の海運が滞っています。それはつまり、別府に届く燃料と食料の価格にも影響が及ぶということです。そして1月には、ある国の政府が別の国の首都に軍を送り込み、その国の元首を連れ去りました。
これらの出来事について、皆さんがどう考えるべきかを指示するつもりはありません。自分の見解を自分で形づくること————それを学ぶために、皆さんはこの大学にいるのです。ただ、これらには共通点が1つあります。
いま述べたすべての出来事の共通点は、それを越えることを誰からも許可されていない国境を越えた、ということです。
氷は1つの国で崩れ、2つの国で人の命を奪い、死者・行方不明者にはさらに多くの国の人々が含まれています。コンゴの辺境の州で現れたウイルスは、ウガンダの首都カンパラに現れ、次にドイツに、そしてフランスに現れました。スペインで記録を塗り替えた熱波は、日本を含む、地球上のあらゆる工業国の排出によるものです。そしてペルシャ湾の海峡が閉じれば、大分の食料品価格にも影響が及びます。
私たちの問題は、完全に地球規模のものになりました。しかし、地球規模の問題を扱うために私たちが築いてきた制度————国際連合、世界保健機関、条約、同盟、そして地味な協力の枠組み————は、最も必要とされているこの瞬間に、弱められつつあります。ますます多くの政府が、自国の面倒だけを見ていれば十分であり、意見の対立を力で決着させるのは許されることだ、と結論しつつあります。
それが空白です。どの国も単独では解けない問題があり、その一方で世界は、何かを共に解くということから遠ざかりつつある。その空白が、皆さんが受け継ぐものです。入学初日にそれを手渡すことを申し訳なく思います。しかし、その空白をしっかり見ることが、解決に向けて動くことへの第一歩なのです。
APUの開学理念の1つに「自由・平和・ヒューマニティ」があります。これは壁に掲げる飾りではなく、実践的方法論であり、このキャンパスは、皆さんがそれを練習する場所です。
皆さんがすでに何をしたか、考えてみてください。皆さんは、自分とは違う人々の中に入って暮らすことを選びました。国際学生の皆さんは、言語や文化や地理の、本当の距離を越えて来ました。国内学生の皆さんは、自分の国にいながら自分が少数派になる大学を選びました。皆さんは1人の個人として、いま世界が全体として実行できずにいることを、すでにやってのけたのです。
そして明日から、皆さんはそれを、この上なく当たり前の形で続けることになります。清潔さや騒音、食べ物や時間について、自分とはまるで違う前提を持つ人と、APハウスのキッチンを共有することになります。5つの国から来た5人と、締め切りのあるグループワークに放り込まれることになります。誰かをひどく誤解し、恥ずかしさに顔が熱くなり、そして戻っていって関係を修復しなければならなくなります。
それは時に面倒です。正直に言います。時にうんざりすることです。
そしてそれは同時に、国際社会の議題の中で最も難しい問題が、縮小されて皆さんの寮の中に置かれたものでもあります。自分と本当に異なる人々と、うまく共に生きること————我慢することでも、避けることでもなく、その人を大切に思うようになること————それは、世界がいま失いつつある能力です。皆さんはこれから4年間、ここに暮らしているというだけで、意図せずして、毎日それを練習することになります。
この機会を無駄にしないでください。これこそが本当のAPUカリキュラムです。
3つ、お願いがあります。どれも小さく、具体的で、今日から始められることです。
人の名前を覚えて、正しく発音できるようになってください。
だいたいではなく、正しく。必要なら2度聞いてください。誰かの名前を正しく呼ぶことは、敬意の最初の行為であり、気をつける以外に何のコストもかかりません。
難しい会話を、避けずに、してください。
ここでは、自分の国と対立している国の出身者や、宗教・歴史・政治について本当に不快に感じる考えを持つ人にも出会います。自分と意見の合う人だけといたくなるでしょう。そこを踏みとどまってください。どうしてそう考えるようになったのかを尋ね、相手が話し終えるまで聞いてください。同意する義務はありません。しかし、理解する義務があるのです。
信じる前に確かめ、共有する前に確かめてください。
今日お話ししたすべての出来事に、皆さんは再び出会います——スマートフォンの上で、怒りに満ちた、断定的な形に圧縮された姿で。その一部は虚偽です。その一部は、ある種類の人々に対して皆さんを怒らせるために作られています。誰かに広める前に、どこから来たものかを調べてください。これはいまや生き延びるための技術であり、大学が実際に教えられる技術です。
皆さんは難しい時期にAPUに到着しました。私は、そのことを隠すつもりはありません。
しかし最後にこれだけは伝えておきたい。世界を修復する人々は、それについて大声で絶望を語る人々では、まずありません。そして、何も問題はないというふりをする人々でも、まずありません。世界を修復する人々は、状況を正確に観察し、そのうえで自分の手の届く部分から仕事に取りかかる人々です。
この大学は、そのためにあります。私たちはAPUが灯台であることを願っています————暗い海で、人々が進路を定めるための光であることを。しかし灯台は建物でも、理念を記した文章でもありません。人です。それは皆さんです。20年後、省庁で、企業で、研究室で、あるいは教室で、誰とでも話すことのできる人間として、大事な場に立っている皆さんです。
皆さんの最初の課題は、30分後に始まります。今日この会場を出る前に、自分の国とは違う国から来た人に自己紹介をしてください————そして、その人の名前を正しく覚えてください。
立命館アジア太平洋大学へようこそ。皆さんと共に学べることを、心から楽しみにしています。
2026年9月25日
立命館アジア太平洋大学
学長 米山 裕