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2022/03/18
学長代理祝辞
APS、APMの卒業生の皆さん、GSA・GSMの修了生の皆さん、ご卒業誠におめでとうございます。皆さんはAPUで先生たち、友人、先輩や後輩、職員、研修先や留学先で出会った人たち、アルバイト先の上司や仲間など、多くの人と関わり、支えられ、鍛えられて今日の日を迎えました。APUのグローバルな環境において、さまざまな文化と接して悩み、乗り越え、APUでしか体験できない学びを進めてきました。これまで学生の学びを支えてくださった保護者やご家族の皆さま、本当にありがとうございました。APUを代表して、心からお祝いを申し上げます。
皆さんの学生生活後半の2年間は、グローバルなパンデミックに見舞われました。大学院生の皆さんは、APU生活のほとんどをコロナ禍のもとで過ごすことになってしまいました。不便なこと、不安なことも多かったと思いますが、今日ここにいる皆さんは、会場にいる人もオンラインで参加している人も、世界に散らばる友人と繋がり合い、励まし合いながら学業を継続し、卒業・修了後への道を切り拓いてきました。皆さんのレジリエンス、つまり「逆境に負けない力」に心からの敬意を捧げたいと思います。今後の人類社会は、気候変動、国際紛争など多くの地球規模の課題を解決していかなければなりません。皆さんが、APUで身につけた専門的能力、世界の友人と支え合うネットワークの力、そしてコロナ禍を乗り越えたレジリエンスを生かして、それぞれが解決に向けてリーダーシップを発揮してくれることを願います。
卒業にあたって、3つのはなむけの言葉を皆さんに贈ります。
1つ目は、正しく生きてほしい、ということです。人格(character)という言葉があります。人格は自ら作るものです。皆さんの人格は、皆さんのこれからの人生の中で、皆さんが何を考え、何を感じ、何を決めるのか・・・そういった日常生活の中で決まっていきます。自分の行為、言葉、態度が自分で恥ずかしくないと思えるものか、常に考えてください。法や規則を破らなければ大丈夫だとか、人に見つからなければ良いとか、そういった次元の人生を生きないでください。勇気を持つこと、困難に負けないこと、正直であること、忠実であること、人に共感すること・・・こういったことを実践し続けることは、本当に意義のあることです。
2つ目は、行動する人になってほしい、ということです。セルフ・エフィカシーという言葉があります。自分の取る行動が、自分が望む結果を生み出すことができるという、確信を持つことです。2014年の日本政府の調査では「うまくいくかわからないことにも意欲的に取り組む」にYESの回答をした若者の比率は、日本が52%なのに対し、韓国は71%、アメリカは79%でした。2018年の別の調査では、「私は努力すれば大体のことができると思う」にYESと答えた高校生の比率は、日本が61%なのに対し、韓国は73%、中国は85%、アメリカは86%でした。皆さんは自分のセルフ・エフィカシーをどう評価しますか?APUは、自ら動く学生が多いという特質を踏まえ、2030年を目指したビジョンで「APUで学んだ人たちが世界を変える」ことを掲げました。皆さんがこれからの人生で自分の夢を実現する中で、世界を変えてください。
3つ目は、一人一人の人間を大事にしてほしい、ということです。APUは世界の大学の中でも、類い稀な多様性を持つキャンパスを創り上げてきました。多様な国や地域、文化、習慣、宗教などを背景とする学生が集うのがAPUです。そういった文化や考え方の違いがあることを前提に、さらに個人個人を認め合い、共に学生として大学コミュニティの一員であった経験は、これからの世界のあり方を先取りするものです。APUではこういったありかたを「インクルーシブネス」と呼んで、今後の大学づくりの基本とすることにしました。皆さんも、インクルーシブなAPU体験を生かして、これからの人生で出会う人たちを大事にしてほしいと思います。同時に、共にAPUを経験した仲間も大事にしてください。
皆さんは、今日をもってAPUの学生であることをやめ、APUのアラムナイになります。今後の皆さんの活躍が大学としてのAPUの発展を支えますし、APUの発展が皆さんのキャリアを支えます。その意味で、皆さんはこれからもAPUのメンバーです。
最後になりますが、現在病気療養中の出口学長のことを皆さん大変心配されていることと思います。出口学長は長いリハビリ治療に真剣に取り組まれ、さまざま能力を目覚ましく取り戻されたと聞いております。4月からは本格的に業務に復帰される予定です。ここで皆さんと一緒に学長の一層の回復を祈りたいと思います。
皆さんのこれからの人生に幸多からんことを祈ります。ご卒業、本当におめでとうございます。
2022年3月18日
立命館アジア太平洋大学
副学長・学長代理 米山 裕