立命館アジア太平洋大学
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学長・副学長ノート

卒業生へのメッセージ  

2016/3/18

是永 駿 学長


皆さん、ご卒業おめでとう。
皆さんにとって、今日はこの丘の上での最後の日です。皆さんは学び舎を巣立ち、社会人となります。多くの方が会社で働き、大学院に進む方もいます。また違った夢を追い求める方もいるでしょう。日本で暮らすにしろ海外に渡るにしろ皆さんはこれまでよりも深く社会に組み込まれていきます。
その中で、紛争の絶えない複雑な社会にあって、暴力や武力による支配が優勢であるかのように思えるかもしれません。
このような時代に求められるのは、人間ひとりひとりの存在の尊さ、ひとりひとりの命の尊さという根本に立ち返って、民族、宗教、思想信条の違いを超えた新たな価値、文明をコントロールする知恵を見出すことだと思います。しかしどうすればその違いを克服できるのか。自分とは異なる存在である他者とどのような関係を築き、共存できるのか。
まずは自分自身への信頼、自分を信じることから出発し、自分を尊いと思う心で相手を知り、認め、その存在を尊いと思う、そのメンタリティーがすべてに優先して尊いのです。グローバル・マインドの根本がそこにあります。相手との違いを認め、異なる他者を思いやる、そのメンタリティーこそ、このAPUのキャンパスで育まれるグローバル・マインドなのです。
数年前の冬、出張で北京を訪れました。滞在先のホテルのテレビには、日本車の洒落たコマーシャルが溢れていました。トヨタのレクサスをはじめ、ホンダ、ニッサンのコマーシャルが次々と流れるのです。眼下の北京の大通りを埋め尽くした車のヘッドライトのように。そのにぎやかな夜の光景を眺めながら、ほんの数か月前のトヨタの販売店が焼き討ちに遭うなどの暴動の光景が蘇りました。ほんの2,3か月の間に、都市生活は暴動のカオスから日常の活気あふれるカオスへと、秋から冬への短い季節の移り変わりに合わせて変わったかのようでした。
喧噪に包まれた眼下の光景を見てつくづく、ある経済学者の言うとおりで、「経済の利潤動機はナショナリズムに優先する」のだと思いました。しかしその一方で、なるほど利潤動機はナショナリズムに優先するかもしれないけれど、ナショナリズムを克服することはできない、とも思いました。いくら経済活動がグローバル化しても、人間の意識が変わらないかぎり、領土、領海、国境をめぐるナショナリズムは解決しない。
人々を平和的な共存へと導く新しい意識、新しい価値とは何か。それは、まず相手の存在を認め、互いの違いを尊重する意識、すなわち、異なる他者を思いやる意識なのです。その意識のもとに対話を続ける、その行為こそが現在の世界にあっては、真に創造的な行為なのです。
APUは一昨年、日本のトップ・グローバル大学、37大学のひとつに選ばれました。日本の高等教育の国際化のパイオニアとしての実績が認められたのです。昨年はある経済誌の、世界と競える大学ランキングのトップ20にランクされました。これは我々教員、職員が日本を代表するグローバル大学をめざして切磋琢磨してきたこととともに、皆さんの先輩、校友たちがそれぞれ堅実な人生を切り拓き、世界中で活躍していることの賜物です。我々APUの教員、職員は「自由、平和、人間性」を建学の精神として掲げるAPUの未来こそがアジア太平洋の未来を切り開くものだという信念をもっています。
今日から社会人となり、APU卒業生として人生を歩む皆さんもこの信念をもって生き抜いてください。
あらためて、ご卒業をお祝いします。

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