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エーザー元旧ユーゴ国際刑事裁判所判事 国際法ワークショップ開催

2008/6/30

2008年6月16日(月)、旧ユーゴスラビア国際刑事法廷(ICTY)の元判事で、立命館大学客員教授のアルビン・エーザー氏を講師として招き、高柴優貴子ISS教務主任のAPS/ISSゼミ主催で「Transitional Justice at crossroad」をテーマとしたワークショップを開催しました。ワークショップにはゼミ生以外の学生も参加し、途中、学生たちが意見や質問をする時間も多く設けられ、活気あるものになりました。


紛争後の社会構築に向けて法的取り組みがどのように寄与できるのかということを考える研究領域はTransitional Justiceと呼ばれ、90年代以降、冷戦後に頻発した民族紛争における大規模な人権侵害に対処する手段として議論を呼んでいます。ワークショップ開催前にゼミ学生が各自疑問点を整理し、質問事項を集約した上で、この分野の最前線で活躍されてきたエーザー元判事にそれに沿う形でご講義いただきました。本ワークショップは、1)国際刑事法の発展、2)国際刑事裁判と国内刑事裁判、安保理の関係、3)そしてICTYの判例にみる上官の責任の問題、と大きく三つのポイントにそって展開されました。また2)に関してエーザー客員教授は、ドイツ代表団の一員として国際刑事裁判所(ICC)ローマ規程の交渉過程に携われた経験にも言及されました。



このワークショップを受けた吉成大さん(APS3、日本)は、「国際法で個人を裁くということは、国際的に権限を与えられた裁判所の設立という観点からすれば、一見目新しいことに見えるが、エーザー氏はその発展を話される中で、時をさかのぼりニュルンベルク裁判、東京裁判を重要視し熱弁していたところが印象的だった。国際刑事法の発展の最前線に立ち続けたエーザー氏は、ドイツ人として第二次世界大戦を経験し、国際軍事裁判を目の当たりにし、戦後のドイツを生きてきた人でもある。そのような歴史を背負った人の活躍が、国際法の進展に深くかかわっていると感じたこと、その歴史を次の世代である私たちに伝えようとする姿勢に大きな感銘を受けた」と話していました。

大山愛美さん(APS4、日本)は、「Transitional Justice は、人権侵害が起こっている世界で大きな役割をもっていると改めて感じさせられた」と話し、Albert Shrestha さん(APS3、ネパール)は、「法的概念や手続きに関する内容を知ることにのみならず、人権の確立やより良い世界を創っていくために、どのように人類の様々な努力がなされるべきであるか、ということに気づかされた」と感想を述べました。

エーザー先生を含めた有識者で集ったグループの努力が、現在のICCローマ規程草案に大きく寄与したという体験談も聞くことができ、「個人の力が、国際社会という舞台に大きな影響を与えたという話に感銘を受けた。自分たちも、そのような国際社会という舞台で貢献できる人間になりたい、という強い思いが再び込み上げてきた」とEkaterina Porras(APS3、メキシコ) と柴田和典さん(APS3、日本)は話していました。

高柴ゼミでは、立命館大学法学部の出口雅久教授の尽力を得てエーザー客員教授をAPUにお招きして今回の講演会を準備するにあたり、「一方的な講義ではなく、学生たちが世界的な第一線の専門家に直接触れると共に、日頃から個人研究で抱えている疑問について新たな示唆を得る場となるよう、対話形式の講演会にしたい」と今年4月からエーザー先生と綿密な打ち合わせをし、今回のインターラクティブな国際法ワークショップを実現させました。エーザー教授は、国際刑事法分野の第一線での豊富な経験を元に、国際戦犯法廷の話をし、同時に学生たちに自由、正義、平和のために行動をするよう呼びかけました。



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