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RCAPS Onigiri Seminar「西ベンガルの伝統芸能と民族文学」開催

研究

2018/7/13

2018年7月3日(火)、大阪大学の北田信准教授をお迎えし、「西ベンガルの伝統芸能と民族文学について」と題してRCAPS* Onigiriセミナーを開催しました。

北田准教授は、数ヶ国語に精通し、南アジアの言語および文化の研究を精力的に行う研究者で、頻繁に現地を訪れフィールドスタディを行っています。今回のセミナーでは、北田准教授自ら撮影した、民族芸能の映像素材が紹介され、受講者は多岐にわたる映像を鑑賞することができました。多くの芸能は、神と人間の関係を描くという一貫したテーマにもとづいており、通常は若い女性の踊り手により演じられ、また16世紀から受け継がれているという解説がありました。しかし、北田准教授が特に魅了されているのは、商業化されず、純粋でありのままの変わらぬスタイルであり続ける、村の人々が演じる民族芸能であるということでした(例えば、地元の村の熟練した高齢の女性が演じる伝統的な舞踊から、演者の豊かな人間性が直に伝わってくるとのこと)。音楽は、一般的に伝統楽器と、時には近代的な打楽器も含めて奏でられ、歌い手が民族文学の物語を語り、これにより踊りのセンチメンタルでロマンティックな雰囲気がより引き立てられています。現地の建築物や宗教的な儀式の写真についても紹介があり、それにより受講者は現地の文化・ライフスタイルを深く理解することができました。

受講者より「このような伝統的な芸能や音楽が次世代に受け継がれるように、国家あるいは地域の行政からの支援はあるのか」という質問があり、北田准教授は「残念ながら伝統芸能を守っていく努力や資金が十分ではなく、またマスメディアに取上げられない」と答えました。これらの要因に加えて、地元の伝統は正統的なラインからそれているとみなされ、民族芸能は絶滅への一途をたどっています。

ある地域に特化した伝統芸能の緻密な研究により、めったに見られない様々な芸能のスタイルを受講者は体感することができただけでなく、さらには宗教的な信仰や社会状況が芸術の伝統の継承とどのように絡み合い、影響を与えているのかということを考える機会となりました。

APUのアジア太平洋研究センターでは、APUの教員や大学院生によるアジア太平洋地区に関する研究活動の促進を目的とするセミナーを開催しています(このセミナーの中で提供されているOnigiriとは軽食のことを意味します)。2017年度に開催したセミナーのトピックスは、戦時中に使用された紙芝居からファッション業界に関するコストと管理会計の原則、またポップカルチャーはいかに社会、政治、経済、歴史、日米関係を理解する上での手がかりとなるか、など多岐にわたりました。今回のような芸能に関わるトピックスにより、RCAPS Onigiriセミナーの研究分野はさらに拡がりをみせます。
なお、今回のセミナーは、アジア太平洋学部の高柴優貴子准教授の企画により実施しました。

* RCAPSは、Ritsumeikan Center for Asia Pacific Studies(アジア太平洋研究センター)の略称。



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