立命館アジア太平洋大学

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ノーベル賞受賞者シンポジウム - アマルティア・セン博士(ハーバード大学教授)をお迎えして

2006/1/20


10月27日、立命館アジア太平洋研究センター(RCAPS)の主催により、ノーベル経済学賞受賞者であるアマルティア・セン博士(ハーバード大学教授)を招へいして、「ノーベル賞受賞者シンポジウム」を開催しました。

「理知, 対話, 潜在能力ーアジア太平洋における意義ー」と題したシンポジウムでは、セン博士の基調講演の後、パネルディスカッションと質疑応答を行いました。
会場のミレニアムホールには溢れるほど多くの学生が出席し、世界的に尊敬を受ける経済学者の講演に熱心に聴き入り、熱いまなざしを向けました。




冒頭、セン博士は持論である「潜在能力アプローチ(Capability Approach)」について展開され、「『潜在能力アプローチ』は、所得や財力を考慮しません。例えば、飢饉の犠牲者に比べて、絶食する人の潜在能力は高いと言えます。なぜなら、絶食する人は栄養を摂ろうと思えば摂れるからです。この議論は、個人の特性から実際に達成できる選択肢の自由度がどれだけあるかに焦点を当てています』と、潜在能力の拡大が人間的発展の目標であると同時に、自由の拡大を意味することを示唆されました。

また中国とインドの平均寿命を比較して、「寿命の伸長は潜在能力の拡大に結びつきます。中国では1940年代の革命後、平均寿命がインドより15年長くなりました。しかし、この25年間で両国の平均寿命の差は半分に縮まりました。中国の平均寿命の減退は、無料医療保険制度が民間保険加入制度へ移行したことによると考えられますが、一党独裁体制の政策に対して公の抵抗はほとんどありませんでした。民主的権利の剥奪によっても人間の潜在能力は奪われ得るのです」と述べられました。



最後にセン博士は、「潜在能力の役割や重要性について議論する時は、公的な議論と双方向の評価が必要です。なぜなら『潜在能力アプローチ』はひとつの視点だからです」と言及されました。

つづく、松井範惇山口大学教授、後藤玲子立命館大学教授とAPU教授陣を交えてのパネルディスカッションでは、セン博士にさまざまな角度から質問や意見が投げかけられ、会場の学生から「潜在能力と貧困の克服について」などの質問がありました。



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