寄付者の声
「ネームプレート募金」寄付者、青木道生さん(2005年春卒)がご来学され、横山学長特命補佐と対談いたしました。また、学生時代のことや今のお仕事のことなど、いろいろとお話を伺いましたので、ご紹介します。
- Q1:まず、今回「ネームプレート募金」に寄付してくださったきっかけや、そこに込められた想いをお聞かせください。
- A: 在学中は特段にAPUの特殊な国際的環境を謳歌することはありませんでした。けれどAPU卒業後に出張や旅行等で海外を多く訪れるようになり、ある国にたった一人のAPU在学時代の友人を訪ねた時は、私の訪問と合わせて同国及び周辺国から多くのAPU卒業生が集まり、在学時代の思い出や将来のビジョン等を語り合い、有意義な時間を過ごすようになりました。APUを卒業してから、ちょうど10年目となる2015年、ようやくAPUの特殊環境の重要性を再認識し、更にAPU在学生や卒業生、また教職員の方々等と積極的にかかわり合いを持つことが出来ればと考え、寄付を行うに至りました。
- Q2:APUに入学した理由を教えてください。
- A:私は幼少の頃から、漠然と「社長になりたい」と夢を抱いていたことを思い出します。従って、希望学部は、経営学部か商学部でした。高校に通っていた頃カナダへ1年間留学し、帰国後いよいよ進路を決める時期に、「別府市の山の上に、大学が建っている」と聞かされました。教職員や学生の半数が海外からの方々で、講義も半数程度は英語で行われる、そして希望する経営学部も、設置されてある。漠然とではありますが将来「社長になりたい」と思っていた私にとって、これ以上の環境は無く、APUを調べたその日のうちに、第一志望校となりました。
- Q3:APU・別府での学生生活はいかがでしたか?
- A:小学校低学年より別府市で過ごしてきた私にとって、同じ別府市に立地するAPUへの進学は、それまでの環境を劇的に変化させるものではありませんでした。余談ですが、カナダへ1年間の留学経験を経た後にAPUへと進学し、正直「どうだ!英語は理解出来るぞ!」という意気込みでしたが、入学早々に打ちのめされたことを覚えていますね(笑)。私はAPUが開学して2年目に入学した2期生ですが、当時の国内学生の殆どが留学経験を有しており、カナダで1年間程度の期間で仕込まれた英語レベルでは、彼らの足元にも及ばず、必死で勉強した記憶が蘇ります。
- Q4:APUでの学生生活で最も印象に残っている経験と、そこから学んだことは何ですか?
- A:学生時代は国際学生と講義やゼミを通じて親しくなり、今でもそれらの友人とは国境を跨いで親しくしています。特にゼミでは、鈴木泰教授の金融ゼミを専攻しました。国際金融や金融機関論を学び、将来の進路決定に大きな影響をうけました。現在でも、ゼミの教員やその他の教員の方々とは親交があり、一生の財産であると考えています。
- Q5:卒業してから現在までのお仕事内容について教えてください。
- A:金融ゼミの専攻もあり、APU卒業後は地方銀行へ入行しました。入校当初は、主に法人融資を担当し、企業の融資申込に際しての財務審査等を中心に行っていました。しかしリーマンショック後、企業を取り巻く外部環境は激変し多くの中小零細企業が経営危機に瀕しましたが、それらの企業を本質的に救うことは本来的業務の観点からすれば難しかったのです。そこで、平成22年2月末日に地方銀行を退職し平成22年3月1日付にて、経営コンサルティング・オフィス「アジア太平洋マネジメント」を創業致しました。この屋号は、APUの当時の学部名ですね(笑)。念願の「経営者」になったわけですが、それから現在に至るまで、様々な中小企業の経営改善や企業再生に携わっております。
- Q6:現在の仕事はいかがですか?
- A:サラリーマン時代と比較しても、大変に充実しています。企業再生実務は基本的に私の描いた再生計画通りに物事が進捗していきます。時には、従業員の抜本的なリストラという選択肢も、企業を倒産させないためには、不可避となります。つまり、私の提案や指導の内容によって、人が不幸にもなり、もしかしたら企業が倒産してしまうかもしれない。勿論、そのようなことが起こらないよう、オーダーメイドの再生計画を策定しています。従い、サラリーマン時代とは比較にならない程のやりがいと、プレッシャーが同時並行的にのしかかるのです。「これが、経営者になるということか」と、今更ながらに認識しています。
- Q7:最後に今のAPUの学生へメッセージをお願いします。
- A:今回のネームプレート募金に際して、「Find Purpose, The Means Will Follow」というメッセージを贈りました。「目的を見つけよ、手段は後から付いてくる」という意味です。私も、確固たる目的のみを持って、起業独立しました。独立当初に考えていた自社経営や企業再生の「手段」と、現在の「手段」は、全く違います。しかし、当初の「目的」のみは、今も昔も変わりありません。ブレない、確固たる目的さえあれば、そしてそれに見合う知識とノウハウを身に付けていれば、手段が見い出せます。学生時代の失敗など、将来振り返れば大抵は笑い話になります。その場数を積むことにより、自らの中で「目的」に対する「達成」のための「理論」(手段)が構築され、失敗の頻度も減ることと考えます。このような経験を、学生時代に積極的に行ってこなかった、私自身の後悔にも基づき、在学中の皆様へ、このようなメッセージを贈ることとしました。