山形辰史教授がSDPI・在パキスタン日本国大使館 共催の講義に登壇 ― パキスタン19紙の新聞に掲載
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2026年1月26日、アジア太平洋学部の山形辰史教授が、パキスタン イスラマバードの聴衆に向け、バングラデシュの産業発展とその地域的意義をテーマとしたオンライン講義を行いました。本講義は、持続可能な開発政策研究所(SDPI)と在パキスタン日本国大使館によって共催され、多数の政策立案者、研究者、開発実務者が参加しました。講義内容はパキスタン国内で大きな反響を呼び、現地の代表的新聞であるThe Dawnを始めとする19紙において大きく取り上げられました。
「東アジアの一国としてのバングラデシュ:産業発展のパターン」と題した講義において、山形教授は、長年の研究で得た知見とバングラデシュ開発研究所(BIDS)での客員フェローとしての経験をもとに、同国の輸出競争力向上や産業多角化の進展について解説しました。教授は、バングラデシュが典型的な南アジア型の経済から脱却し、東アジア型の高度産業化モデルへと移行しつつある点を指摘しました。講義内ではバングラデシュが、労働力が豊富で土地が限られているという東アジア型の経済構造を生かし、米国向けの繊維製品や欧州市場向けの自転車輸出において高い国際競争力を示していることを紹介しました。また、家電製品の組み立てやドローン製造など新産業への参入が進んでいることに加え、最低賃金および実質賃金が2005年以降上昇傾向を維持している点も取り上げ、今後の産業発展への期待を示しました。パキスタンとバングラデシュの繊維バリューチェーンの補完性にも言及し、パキスタンが上流工程(素材)に強みを持つ一方、バングラデシュは下流の縫製・製品製造で競争力を築いているとし、両国の産業構造の比較から得られる示唆を紹介しました。
質疑応答では、後発開発途上国(LDC)卒業に伴う通商・規制の課題や、2013年ラナ・プラザ崩落後の労働・環境基準の強化、中国を中心とする海外投資の増加、日本との経済連携協定(EPA)交渉の進展など、幅広い論点について専門的な意見交換が行われました。
山形教授の研究分野は開発経済学、国際協力、繊維産業、感染症、障害と開発、バングラデシュです。APUでは「世界経済とグローバル課題」や「貧困とグローバリゼーション」と題する授業を開講しています。「世界経済とグローバル課題」においては、貿易や国際資本取引、国際人口移動や難民、グローバル感染症などを扱っており、「貧困とグローバリゼーション」の授業では、貧困削減の方法、貧困・不平等度指標、貧困の哲学やジェンダー暴力、児童労働など幅広いテーマを教えています。






