渡邊 友月さんの場合
渡邊さんは2018年のアジア太平洋学部の卒業生で、現在は株式会社コーセー アジア事業部で化粧品の海外での販売に関する手続きやプロジェクトを担当しながら、将来は商品企画にも挑戦したいという夢を持って頑張っています。
そんな彼女は海外交換留学で犯罪学という少し変わった分野を学修しました。彼女が何を考えて、どんな準備をして、現地でどのような体験をしたのかを見てみましょう。
APUで出来る体験はすべて体験したい!まずは「FIRST」から
APUで出来る体験はすべて体験したい!まずは「FIRST」から
APUに入学した時から、様々なことに挑戦したいと思っていました。APUにはたくさんのチャンスが転がっていますが、1回生の最初にこの留学のチャンスを逃したら、この後もチャンスを生かせないと思い、「FIRST」へ参加し、5日間韓国での現地実習に取り組みました。グループメンバーは私を含め全員韓国語を話せません。それでも、韓国語しか通じない現地の人相手にアンケート調査を実施しないといけませんでした。当然韓国語での流暢な交流はできないのですが、それでも身振り手振りや、英単語、イラストなど、ありとあらゆるものを駆使して交流することで、言語だけに頼らない国際交流の力や、どんな環境でも頑張る度胸を身に着けることができました。
交換留学へ向け準備!留学準備講座で留学の目的を明確に
交換留学へ向け準備!留学準備講座で留学の目的を明確に
APUに入学したからには絶対に1年間交換留学したいと思っていました。留学を目指す仲間と一緒にモチベーションを高めあう環境が欲しいと思い留学準備講座に参加しました。そこでは英語力の強化はもちろん、海外研修として短期間マレーシアとシンガポールに行きました。最も良かった点は、なぜ交換留学したいのか、留学先で何を学びたいのかを徹底的に考えることができた点です。自己分析をする中で、昔から犯罪を扱った海外ドラマが好きで、学問レベルで犯罪について学べる犯罪学に興味があることに気が付きました。私の好奇心と熱意がしっかりと伝わるように何故留学したいのかを考え抜き、時には交換留学を経験した先輩方に真夜中のファミレスで申請書を何度も添削していただいた結果、無事交換留学に合格することができました。
※現在は留学準備講座は行っておりませんが、留学に関するイベントやSALCなどでの学修支援を提供しております。
初めての海外大学での滞在。マレーシア・シンガポールの大学へ
初めての海外大学での滞在。マレーシア・シンガポールの大学へ
留学準備講座の一環で、夏休みにマレーシアの大学へ2週間、シンガポールの大学へ1週間滞在し、現地の学生との交流や模擬授業などを経験しました。現地の学生との交流を通じて異文化コミュニケーションについて学び、目指している交換留学が少し身近に感じられるようになりました。また、海外旅行とは異なり、現地の大学の寮で生活したため、よりその国の文化に触れることができました。(マレーシアでの水シャワーや、トイレでも紙ではなく水を使用する生活をしたのが今でも印象に残っています。)
犯罪学を学問的に学べる大学はどこにあるのか?アメリカへ交換留学
犯罪学を学問的に学べる大学はどこにあるのか?アメリカへ交換留学
交換留学先はアメリカのミシガン州にあるGrand Valley州立大学を選びました。この大学はCriminal Justice Studiesの所属教員が多く、警察官や少年鑑別所で働いている実務家による授業があることなどが決め手で、この大学を志望しました。将来はFBIやCIAで働きたいというクラスメイトの中で、たったひとりの日本人として、あまり犯罪学の基礎知識もない中での英語による専門的な学びはとてもハードでした。その中で子どもたちに犯罪を起させたくないという思いを抱くようになり、そのためには親子のつながりを強化させることが大切だという考えを持ちました。そして、将来はソーシャルワーカーなど直接的な関与ではなく、人々の生活の質が向上するようなものを作っているメーカー系の会社で働くことで、世の中に温かい家庭を増やし、間接的に子どもたちの犯罪を防止したいという目標がみえてきました。
自分の本当の夢。APU生だからこそ素直に言えた
自分の本当の夢。APU生だからこそ素直に言えた
高校までは、周囲の目が気になり自分の本音が言い難い雰囲気がありました。しかし、APUは多様性に溢れているので、相手が自分の考えと違うことを言っても、それを受け入れられるようになり、さらに自分も、少し変わった考えかも知れないと思っても、ためらわずに言うことができるようになりました。私も犯罪学を学びたいという日本では少しユニークかもしれない思いを、APUに入学したからこそ初めて素直に言うことが出来ました。APUのOff-campus Programsは、目的や期間など、様々なプログラムが準備されているので、きっと何かしたいと思ったときに、それに近いものがあると思います。自分のやりたいことを日々意識しながら生活することでチャンスを積極的に活用することができるのではないでしょうか。
後輩へ思いをつなぐ。留学準備講座やSEAでの後輩支援に力を注ぐ
後輩へ思いをつなぐ。留学準備講座やSEAでの後輩支援に力を注ぐ
自分の経験を活かし、交換留学に行きたいけれど、どうしたらよいか分からない後輩への支援をするため、留学準備講座のTAやStudent Exchange adviser(交換留学アドバイザー)として活動しました。
1回生の中には英語を学びに行くことが交換留学だと思い込んでいる人もいました。交換留学は、英語を学ぶことが目的ではなく、英語で何かを学びに行くことが目的のため、一体留学先で何を学び将来に活かしたいのか考えてもらいました。将来何がしたいのか分からないという相談には、自分の経験を伝え、その子の好きなこと、興味があることを一緒に振り返り、掘り下げていくことで、自分一人では気が付くことのできない心の奥に潜んだ将来の夢を見つけ出す手助けをしました。
4年間たくさんの経験をさせてもらったAPUを、もっと良い大学にしたいという思いがあり、私は後輩を支援する形で、APUやこれまで助けてくださった先輩方への恩返しをしました。
進路について
交換留学中に犯罪学を学んだ私は、人々の生活の質が向上するようなものを作っているメーカーで働きたいと思うようになりました。いろいろと迷いましたが、全ての就活をオンキャンパス・リクルーティング(※)で行いました。オンキャンパス・リクルーティングであれば、「APU生が欲しい」という企業が集まるため、APUで本当にたくさんのことを経験させていただいた私は、そこに来る企業さんとならミスマッチが少ないと思ったからです。その結果、Quality Of Lifeの向上を理念に掲げる、帝人株式会社の営業職として採用いただきました。所属した事業本部では、女性の新卒社員が営業職に配属されるのは初めての事態でした。また、周りの社員はベテランの理系社員が多かったため、新卒(20代)・女性・文系(国際系)の私はとても異例の存在でした。しかし、APUのOff-campus ProgramsとOn-campusでの取り組みを通じて常に異文化交流について経験していたため、このような環境でも「一種の新たな環境」と捉えることができ、すぐに入り込むことができました。
そして、BtoBメーカーで働く中で、「世界の人々により直接的に関われる商品を扱いたい」や、「性別などのカテゴリーにとらわれず、1人ひとりが輝ける世の中にしたい」という気持ちが増し、社会人4年目の夏にBtoC化粧品メーカーである株式会社コーセーに転職することになりました。APU4回生の時に、アフリカ系学生を対象にしたコーセーのインターンシップのお手伝いをした経験があり、その時のことがきっかけで転職につながりました。コーセーにはAPU生が年々増えており、海外展開だけでなく社内のグローバル化にも力を入れていることがよくわかりました。現在、アジア地域を対象にした業務を行っています。現地法人の方と日々業務を共にしており、そこでもAPUの経験が活きています。いつか海外駐在を経験したのちに、海外をターゲットにしたブランドを立ち上げることで、1人ひとりが持つ本来の輝きを活かせるような商品を世の中に届けたいです。
※APUでは、就職活動の大きな柱として企業の方々にご来学いただき、APU 学生を対象にした企業説明会・採用選考会等を行う「オンキャンパス・リクルーティング」を実施しています。
後輩へのメッセージ
APUには様々なチャンスが転がっています。そして、無ければ自分で生み出すこともできます。そんな中で何をするかは私たち自身で選ぶことができ、それは本当に貴重なことだったなと、卒業した今感じています。個人的には、たくさんのプログラムに参加して人脈や経験を広げることもいいと思いますが、回数だけがすべてではないとも思っています。ただ単に目の前のプログラムに参加するのではなく、目的意識をもって、自分が何を学んでどんな経験をしたのかをきちんと振り返りながら、参加することがとても大切だと思います。
上にはいろいろなプログラムに参加したと書かせていただきましたが、この4年間でプログラムに落選してしまい、やりたかったのに参加できなかった経験も多々ありました。とある留学プログラムや、日本語サポーターや、海外インターンシップなど、実はいろいろと落ちています。その時はすごく悲しかったし、なぜ落ちたのかよくわかりませんでしたが、不合格も成長するきっかけになると信じ、なぜ不合格になったのか自分なりに考えたり、時には理由を聞きに行ったりもしました(これは出来る時と出来ない時があります笑)。そうすることで、自分に欠けていることを知ることができ、次の経験につなげることができました。
繰り返しになりますが、APUには本当に様々なチャンスが転がっています。どれを選ぶのも選ばないのも自分自身なので、自分の人生を楽しみながら選択していき、未来へとつなげてくださいね。地球のどこかから応援しています!