[KIM Sangho教授(APM)によるレポート]
前半はKIM Taegi教授が「Investment and Adjustment Costs of Korean Firms in view of Tobin’s q」と題する論文を発表しました。
発表ではTobin’s qの観点から韓国企業の投資および調整費用について説明があり、1982年から2015年までの期間の1,106の韓国の製造企業の企業レベルのデータを使用して、グループ企業への投資の調整コストが独立企業よりも低いかどうかを検証しました。教授はTobin’s qが投資の重要な決定要因であり、投資の調整コストは独立系企業よりもグループ企業の方が小さいことを示しました。調整費用が低いためグループ企業は独立企業より多く投資し、結果として投資拡大を通して経済成長に貢献しているとしまた。
発表はよく整理されていて、山形教授とFan教授から内容の濃い集約的コメントが寄せられました。大学院生数人も自分たち自身の意見を述べました。プレゼンターと参加者の間で約15〜20分のやりとりが続きました。論文は非常に興味深く、大学院生に模範となる実証研究を示したと思います。私は大学院セミナーの授業で実証的調査をモデル化し実行する方法を教える際、この論文について議論していきます。プレゼンテーションは参加者に研究の際のアイデアを提供しました。
セミナー後半では、「Dynamic Factor Adjustment and Corporate Tax Reduction in the Japanese Manufacturing Industry」」と題し、私自身(KIM Sangho)の論文を発表しました。この研究は、動的二重アプローチを用いて、日本の製造業における動的要因調整と法人税の引き下げを調査しています。長期的に見れば、生産量供給の自己価格の弾力性はマイナスであるのに対し、労働需要のそれは短期的にも長期的にもプラスである。これは、デフレや雇用レベルが給与の変化に対応していないにもかかわらず、生産量が緩やかに成長しているという事実と一貫しています。労働と資本は、政策ショックから7〜11年後に新たな均衡に達します。 賃金引き上げに対する企業のインセンティブとして減税を実施することは、資本投資だけでなく雇用も増やすことになります。
私の発表の後に意見や議論がありましたが、前半のKIM Taegi教授ほど活発ではありませんでした。これは、私の発表内容がよりテクニカルであったためです。
両論文は当初は同じ基本的動的モデルを共有していますが、それぞれの動機や実証的観点からまったく違った方向へ進みます。この点においてある学生は、最適化されたモデルがまったく異なった使用をされることに驚きを覚えたと伝えてくれました。また他の学部生は授業でTobin’s qを学び、それが実際の研究に関連していることを知ったとのことです。全体的に、セミナーでは参加者が個人的にも新しい研究を学び理解する機会を得ることができました。
すべてを考慮したうえで、参加者のためになるすばらしいセミナーでした。