前号の大学院アジア太平洋研究科アジア太平洋学専攻(APS)の紹介に続き、
今回は「国際協力政策専攻(ICP)」について特集します。
このプログラムでは、 開発途上国と共に密接に働く組織に貢献するために必要な
実践的スキルを身につけます。
学生は、「開発経済」「国際行政」「観光管理」「環境管理」の
いずれかの分野を選択し、
具体的な政策に直接携わることが出来る人材を養成します。
教学部長である山神先生と二人のICP専攻の学生に、
現在取り組んでいる研究についてお話しいただきました。





教学部長

研究領域:
国際政治、比較政治、
東アジア地域研究





Marc:
大学院生達は最近どのような研究をしていますか?

山神先生:

 何名かの例を挙げてみましょう。中国人の学生の1人は、多くの中国系少数民族が住んでいる、ミャンマーのある地域について研究をしています。そこはかつてアヘン生産の中心地でしたが、数年前にアヘンの栽培が全面的に禁止されました。それ以前にもこの地方政府はアヘン栽培を禁止させようとしましたが、成功しませんでした。この学生は、政策を実施できた背景やこの地域を再開発するためにどのような努力がなされたのか、それからこの地域の将来の展望について研究しています。
 日本の教科書について研究している学生もいます。東アジアや日本、韓国での教科書の表現の違いや、ドイツとポーランド、ドイツとフランスの過去の出来事の表現について比較をしています。これは非常に大事な分野で、学生は指導教官からある程度アドバイスを受けますが、ほとんど独自で研究を行っています。
 また他の学生は、アメリカや中国、台湾でフィールドトリップを行い、2008年の北京オリンピックの見通しや、中国と台湾の両岸関係について調査しました。この学生は、台湾の急進主義者や独立支持派が、独立を獲得するために、どのようにこのオリンピックのタイミングを使って、中国に圧力を与えることができるかということを調査し、その可能性はとても低いと考えました。

Dannielle:
大変多くのICPの学生がフィールドリサーチを行っていることに驚きました。フィールドリサーチの利点について教えていただけますか。

山神先生:

 フィールドリサーチは直接知識を得たり、研究エリアの発展につながる新しい見識を得ることが出来る点で、とても大切です。私達教員は大学院の学生にフィールドトリップをすることを積極的に薦めています。毎年30名以上の学生達がAPUからフィールドトリップのための補助金をもらっています。APUニューチャレンジの一環として、フィールドスタディーやインターンシップを含めたアクティブラーニングの機会が増やされ、よりさまざまな調査が奨励されるようになるでしょう。
 最近の例としては、今年の夏休みに行われたThematic Evaluation on South-south Cooperation Project(南南協力事業に対する評価)のフィールドスタディがあります。このプロジェクトは、以前行われた南南協力事業を基に、今後協力の実施法を効果的かつ効率的に改善するために行われました。APUの教員の指導により、3名の大学院生が専門家や大使館、他の機関とのインタビューを通して、アフリカ、南米、および東南アジアで行われた日本の政府援助計画の有効性を評価するために参加しました。

Dannielle:
ICPプログラムの学生はどのようなバックグラウンドを持っていますか?

山神先生:

 アジアの政府機関に従事していた多くの学生が、研究の質と多様な分野を備えたICPプログラムの下で勉強することに魅力を感じ入学しています。これらの有能な専門家の多くが、卒業した後自国に戻って、アジア太平洋地域と世界で幅広い効果をもたらす政策立案に貢献するでしょう。また他の学生たちも、国際的な協力機関や政策立案におけるリーダーとしての仕事に従事することが期待されています。日本を含め世界の民間企業や政府機関では、ICPプログラムで取り組む問題発見・解決ができる高度な専門家を必要としているのです。






アジアに対する日本の考え方をより深く理解

DAIGLE Dannielle Marie
(アジア太平洋研究科 国際協力政策専攻1回生、アメリカ)


 私は、「アジアの諸問題」についてこの地域でさまざまな問題に直面してきた人たちと一緒に勉強するのはそう多くないチャンスと思い、アメリカの大学院へ行く代わりにAPUへ来ることを選びました。私の研究分野は、カンボジアにおける行政開発についてです。アジアにおける日本の展望を研究し、組織と国際協力政策分野におけるよい機会が与えられることにも魅力を感じました。




ICPプログラム:途上国次世代リーダーを育成するための土台

HOUNGBEDJI Marc
(アジア太平洋研究科 国際協力政策専攻1回生、ベナン)


 私は、数年間母国の外務省で働いた後、国際的な舞台で起こる新しい変化に対応するために海外で研究し、自分の知識やスキルを拡げようと決めました。卒業後は、習得したアジア太平洋地域に関する知識を使い、母国の外交政策の強化に貢献し、そしてまたアフリカ地域の統合過程における積極的な役割に貢献したいと思います。私の研究は、東南アジアおよび西アフリカ諸国の地域統合過程における問題の比較に関することです。




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