志村けんさんが亡くなりました (3月29日)
戦争とか疫病の大流行とか、いわゆる非常事態に共通する特徴が、ひとつあります。それは、「あなたにとって良い人から死んでいく」、「あなたにとって大事な人から死んでいく」という事です。皆さんにとって大事な人は、家族や友人、恋人だけではありません。バスの運転手がいなくなれば通学できないし、大学教員がいなければ単位取れなくなります。コメディアンがいなくなれば、バラエティ番組が無くなります。自分の普段の生活を成立させてくれている人が「大事な人」です。そうした人を失って、自分の普段の生活が無くなってしまわないようにするにはどうしたら良いか、自分の主張や行動のリアルな帰結を、具体的にイメージして欲しいですね。若者とか高齢者とか関係なく。子供の頃、たくさん笑わせてくれた志村さん、本当にありがとうございました(BGM)。

2009年の新型インフルエンザのパンデミックについて (3月13日)
2009年に新型インフルエンザがパンデミックを起こし、全世界で1万人以上の人が亡くなりました。本学でも2009年に感染者が発生し7月7日から7月13日まで一週間、休校になりました。

就職活動について(3月9日 追記)
2020年3月9日に、日経平均もNYダウジョーンズも大幅な下落(暴落に近い)を記録しました。グローバリゼーション(ヒト、モノ、カネ、情報の流動性の促進)でリンクされた世界経済において、こうした資本の流動性に問題(例えば「移動の制限」など)が生じれば、経済は衰退します。それにより、一時的(長期なのか短期なのかは治療法の確立のスピード、または新型コロナウィルスの蔓延化の速度次第)に企業の求人が減ってしまう事が予想されます。これまでのように学生さんに有利な労働市場ではなくなり、我々世代が経験したバブル崩壊後の「就職氷河期」のような時期が来るかもしれません。それに備えて、就職活動は早めにかつ幅広く行うようにしてください。具体的には、業種業態は絞らず、できるだけたくさんの会社にエントリーするように。

新型コロナウィルスによる感染症(COVID-19)への備えについて(少し長いですが丁寧にやります)

COVID−19国内外発生状況グラフ
WHOが3月11日、COVID-19のパンデミック(世界的大流行と今後の予測不能)を宣言
3月9日の専門家会議の報告 避けるべき「3つの条件が重なる場所」
日本感染症学会 症例報告(ぜんそく薬・シクレソニドや抗マラリア薬・ヒドロキシクロロキンを用いた治療例など)
新型コロナウィルスに関するお知らせ 大分県庁より 手作りマスクなど

別府市内の感染症指定医療機関は、大分県厚生連鶴見病院です。別府市内で、この病院以外では、新型コロナに関しては対応してもらえないと思っておいてください。

2020年2月24日の米国のWEBジャーナル『The Atlantuc』に掲載されたインタビュー記事で、ハーバード大学公衆衛生スクールのMarc Lipsitch疫学教授は、この1年で世界の40%から70%の人が、新型コロナウィルスに感染するだろうと予測しています(引用元記事)。ただし、感染者全てが重篤な状況になるわけではなく、ほとんどが軽症または症状が出ないとも述べています。また、2020年2月24日に国の専門家会議が発表した新型コロナウィルスに関する「見解」の中の「緒言」には、「現在、感染の完全な防御が極めて難しいウイルスと闘っています。このウイルスの特徴上、一人一人の感染を完全に防止することは不可能です。」と書かれています。また、同専門家会議が3月9日に発表した「今後の見通し」では、「国内での急速な感染拡大を抑制できたとしても、世界的な流行を完全に封じ込めることはできない。」と述べられています。こうした専門家の意見をまとめて普通に考えると、現存する他のコロナウィルスと同じように、我々は新型コロナウィルスとも今後は共生するという事になります。遅かれ早かれ、我々は感染してしまう可能性が高い、という事です。この前提で備えましょう。

2020年2月28日にWHOから発表された報告(Report of the WHO-China Joint Mission on Coronavirus Disease 2019)によると、COVID-19による致死率は全体で3.8%です。現在APUには211名の教員がいますが、全員感染したとして、単純に全体の致死率で計算すれば、8人の教員が死にます。19歳以下の重症化率は2.5%、致死率は0.2%です。APUの学生数を5000人とし、全員が感染したとすると、125人が重症化し、そのうち10人が死ぬことになります。ざっと計算してAPU全体で20名前後の犠牲者が推定されます。アメリカのシンクタンクBrookingsが3月2日に発行したレポートの中で、パンデミックになった場合の7つのシナリオでモデル分析を行っており、日本での死者は、最低で12万7千人、最大で57万人(最悪のケース想定)と推定されています。同レポートの最悪のケース想定で犠牲者数の推定は、中国では約1200万人、韓国では約27万人、インドでは約1600万人、インドネシアでは約300万人となっています。

今後、変異してSARS(重症急性呼吸器症候群)やMERS(中東呼吸器症候群)のように、強毒化してしまう可能性もゼロではありません。Tang et al(2020)によれば、新型コロナウィルスにはL亜型(70%)とS亜型(30%)があり、L亜型が感染力が強いと報告しています。しかし、これに対してOscar et al(2020)は、分析上の欠陥を指摘しています。

よって、このページを主にご覧になっているゼミ生やゼミ卒業生が採るべき基本的スタンスとしては、「まあ、多分、近い将来、私も感染しちゃうんだろうけど、感染するなら、できれば治療法が確立されてからがいいな。」ということになるでしょう。つまり、治療法が確立されるまで、できるだけ時間稼ぎするということです。こうしたスタンスの人がやっておく備えについて、ここではまとめておきます。

今、皆さんにとって、もっとも起こりやすい事態は、自分が突然「濃厚接触者」になってしまい、2〜3週間の自宅待機を強いられるケースです。ニュース等で、職場や教室、自分が出入りした場所、利用した交通機関で感染者が出たということを知り、自分が「濃厚接触者」に突然なってしまうということは、十分にありうるでしょう。在学生の場合は別府で一人暮らし、卒業生の場合には他の都市で一人暮らしという人もいます。こうした人が2〜3週間、突然、自宅待機を強いられるケースを想定して、次の備えをしておいてください。

@冷蔵庫・冷凍庫を利用した食糧備蓄や、薬品備蓄をする
A買い物支援をしてもらえるような他人との連絡系統を数系統確保しておく
B極力、人込みは避ける

@については、地震や災害対策とは異なり、ライフラインの喪失の心配をする必要はありません。なので普段食べているものを、少し多めに冷蔵庫や冷凍庫にストックしておいてください。もちろん、地震対策などと兼ねて保存食などを増やしても構いませんが、普段の食生活を続けられる備蓄を少し強化しておいてください。また、感染が爆発的に増えて社会が過剰反応しだすと、一時的に物流が停滞したり買い占めが発生したりする可能性もありますので、それに備えておく意味もあります。今のマスクや除菌グッズで起こっている現象が、他の商品でも起きうるという事です。また、常用している薬がある人、特に呼吸器系や循環器系の持病があって薬を使用している人は、今のうちにかかりつけ医を受診し、薬を多めに処方してもらって備蓄しておくといいでしょう。流行期になれば、病院に行くこと自体が大きなリスクになりますから。

Aについては、自宅待機が2〜3週間と長期になる可能性がありますので、自分の備蓄だけでその間を過ごすのは困難です。よって、他人に買い出しに行ってもらったりしてもらう必要が出てくると思います。また自宅待機中に発病し重篤化してしまった時などにも助けが必要になるでしょう。ですので、異なる系統の知人との連絡網を構築しておいてください。例えば、ゼミ生の場合、ゼミ生のネットワークだけだとゼミ生が感染して自分が濃厚接触者になった場合、ゼミ生全員が自宅待機になってしまいます。この場合、他のゼミ生に支援してもらう事ができなくなってしまいます。なので、サークルの知人の系統や他の授業でのグループワークでの系統など、複数の系統を作っておいて、いざという時に支援してもらってください。

Bについては、3月3日に大分市内に住む30代の女性の感染が確認されました。すでに別府市内でマスクや除菌スプレー、除菌ティッシュなどを購入することは困難になっています。どこも品薄か売り切れ状態で、買えても個数制限があり、十分な数量を確保するのは不可能です。つまり、衛生的なマスクを毎日つけて外出できるような状況を作ることは、ほぼ不可能になってきています。なるべく感染するタイミングを遅らせたいというスタンスなのであれば、マスクをしなければいけないような外出は極力しない、ということが最善策という事になります。

手作りマスクの作り方、消毒の仕方(大分県庁のページよりダウンロード)
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悪党からメッセージ
みんな、耳を塞がない勇気を持てるかな?自由であることのリスクを承知し(例えば移動の自由)、覚悟を持ってこの自由な社会で生きているはずでは?