2011年11月26日(土)、27日(日)、APUで2011年度 IAAPS年次研究大会及びアジア太平洋カンファレンス(*2)を開催しました。本大会はアジア太平洋研究センター(RCAPS)とアジア太平洋国際学会(IAAPS)、Anthropology of Japan in Japan(AJJ)、立命館サステイナビリティ学研究センター(RCS)の共催により開催したものです。
大会では「Change in the Asia Pacific(直訳:アジア太平洋の変動)」をテーマに、アジア太平洋研究分野の教員や大学院生、国際的に活躍する研究員による70近い論文発表を行いました。基調講演会の冒頭では、APUの是永 駿学長のご挨拶とIAAPS会長でAPU元学長の坂本和一教授による所感表明が行われました。
1つ目の基調講演として駐日本国大韓民国特命全権大使Shin Kak-Soo博士が講演を行いました。Shin大使は北東アジア、特に日本と韓国、中国の3国による、より一層の連携に焦点を当て、「日本と韓国、中国の3国は、世界の中でも戦争による影響や貧困を克服し、最も急速に成長を遂げた地域のひとつです。しかしながら、連携という点では世界の他の地域から遅れをとっています。不幸な歴史を克服し高次に連携する方法を欧州から学び、人的交流をより一層深め、各レベルでの共同ネットワークを構築することで、3国はより緊密な協力関係を結ぶことができるでしょう」と述べました。
更に、台湾 中央研究院社会学研究所所長Hsin-Huang Michael Hsiao博士が「The Ethnic Movements, NGOs and the Impacts on Ethnic Policies in Today’s Taiwan(直訳:台湾における民族運動とNGO、人種政策への影響)」と題して基調講演を行いました。Hsiao教授は、アジア太平洋地域に見られる民族多様性のタイプについて言及した後、台湾の民族多様性について、その歴史とともに紹介をしました。特に3つのマイノリティ・グループ―原住民族、客家(ハッカ)民族、そして新たに移住してきた人たち―を取り上げながら、台湾におけるNGOの活動がいかにマイノリティ・グループの生活に社会経済的な影響を及ぼしてきたかを説明しました。そして「民族多様性は歴史によって生み出され、政治的に歪められてきた」と述べ、台湾政府が、マイノリティ・グループの生活改善に関するNGOの助言を検討・採用することについて慎重路線である点を指摘し、講演を締めくくりました。続いてIAAPS総会、DIPESH Kharelさん(GSAD、ネパール)が制作したフィルムの上映が行われました。
シンポジウムの2日目には、研究者が口頭発表やポスタープレゼンテーションで、観光や気候変動、国際協力、農業、東日本大震災とそれによる津波被害などアジア太平洋分野の多岐に渡る研究成果の発表を行いました。