APUは81ヵ国・地域*の学生が集まる多文化キャンパス。
地元自治体、国内外から様々な皆様に温かいご支援をいただいております。
今回は、本学のアドバイザリー・コミッティメンバーのお一人である
バングラデシュ人民共和国特命全権大使アシュラフ・ウッド・ドウラ閣下と
カセム学長の対談の模様をご紹介します。
*2008年5月1日現在

 

 


リーダーは、国内でも、国際舞台でも活躍できる力が必要です。 (ドウラ大使)

  カセム学長 大使、今日はこのような素晴らしい機会を与えていただきありがとうございます。まず、バングラデシュの国や人々についてお話しいただけますか。

  ドウラ大使 バングラデシュは(1971年にパキスタンから独立した)歴史の浅い国家ですが、すばらしい文化的遺産があります。年間を通して6つの季節があり、人々は自然と共に生きる力を持っています。時折、大洪水に襲われますが、洪水後は大豊作となります。イスラム圏の国に隣接していない唯一のイスラム国家でもあります。このような地理的条件が、独自の文化、哲学、考え方、生活スタイルや人々の行為などを形成してきました。南アジアで、封建的支配を受けていない唯一の国であるということも我々の気質に影響を与えており、独立に重きを置き、文化の独自性を守ってきました。バングラデシュ人は、自由な精神と平和を愛する心を持っています。また何年にもわたって、社会、経済、女性の社会進出、教育、健康など多くの分野で素晴らしい発展を遂げています。経済分野では、米国のゴールドマン・サックスが2005年に、BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)に次いで急成長が見込まれる11の国家を選んだ「NEXT11」にバングラデシュは入っています。国家として、民主主義制度を築いてきているので、英国のエコノミスト誌による各国がどのくらい平和かを評価するGPI(世界平和度指数)では、国際社会がバングラデシュを平和で安定した内政維持に務める国としてみているという結果がでました。わが国の国連平和維持活動(PKO)への貢献も世界から評価を受けています。

  カセム学長 ベンガル文化圏からは3人のノーベル賞受賞者を生み出していますね。ラビンドラナート・タゴール氏、アマルティア・セン氏、ムハマド・ユヌス氏。私が初めてバングラデシュを訪ねたのは1979年で、人々の勤勉さに非常に感激しました。これが、あなた方の文化からリーダーを生み出す潜在力ではないかと確信しています。大使はどのような人材が未来のリーダーにふさわしいと思われますか?

  ドウラ大使 リーダーは、国内でも、国際舞台でも活躍できる力が必要です。人、財産、サービス、技術、情報が国家の枠を越えて動くにつれ、国家間の壁は低くなっています。統治への考え方も変化しており、複雑です。リーダーはこの事態と向き合い、きちんと理解ができていなければ、国を統治することができません。リーダー育成はAPUを含む国際的な教育機関すべてにおいてとても重要な問題です。


学びの場は、教室だけではありません。だからこそ、私達は思いやりのある学生を育み、そして日本においても海外においても同様に地域との強い絆を構築していこうと努力しているのです。 (カセム)

  ドウラ大使 80ヵ国・地域を超える学生が一緒に勉強するAPUには、非常に感心しています。APUのプログラムは、企業が求める人材育成に留まらず、社会で活躍できる人材育成にもつながっているという点は素晴らしいですね。私はAPUのリーダー育成に期待しています。世界は有能、かつ思いやりのある人材を必要としています。それは途上国でも、工業国でも同じことで、社会的な関心は教育の中身にあります。

  カセム学長 大使のお考えに共感します。学生は、知力と、思いやりのある豊かな心の両方が必要です。世界中から集まった学生は、それぞれが強い個性と、多様な文化をAPUに持ち込んでくれます。そのような学生が集うことで、素晴らしい力を生み出します。彼らは授業でも、キャンパス内の交流でも、互いに多くを学び合います。今年初め、バングラデシュのサイクロン被害者のために募金活動をする日本人学生を見かけました。彼女は、被害状況の写真を他の学生に見せ、協力を呼びかけていました。頬には涙がつたっていました。自分以外の人のために悲しむことができる思いやりの心は、学生が自らの生き方を決めていく上でも重要です。

  ドウラ大使 世界中の異なる国々から集まっているAPUの学生は、交流し、互いに異なる文化を学び合えますね。そのことは彼らの世界観を変え、一回り大きな人物にするでしょう。APUはぜひ、世界で活躍できる人材育成の発展に努めてください。

  カセム学長 私の親友の一人がかつてこう言いました。「真の自立は、全面的な信頼からなりたつ」。日本の農村地域では、今でもこのような相互依存の関係を見ることができます。だから、私はAPUが、地域の結束力がある九州に立地していることを嬉しく感じています。学びの場は、教室の中だけではありません。APUは、思いやりの心を持った学生を育て、国内外の地域との強い絆も築いています。

  ドウラ大使 今日の世界が抱える問題の多くは、他宗教に対する知識の大きな欠如から生じるものです。特にイスラム教は、ある人々からは誤解され意図的に非難されることもあります。そういう意味でも基礎教育はとても重要な問題です。宗教や文化を幅広く理解することで、学生は互いに学び、文化の架け橋として役割を果たせるようになります。APUのリーダー養成のための高度な教育プログラム「CAPプログラム」は、学生にこれらの問題を認識させる一助になるでしょう。

  カセム学長 APUは現在、セカンド・トラック外交(民間外交)の場としての役割を果たしています。無力ではあるけれども利害関係のない中立の立場で、大学は困難な問題解決に貢献できるアイディアを提案する力強い存在となることができます。

  ドウラ大使 進路・就職の成功や経済的な成功は非常に重要です。私はAPUがこれからも世界市民を輩出することを強く望みます。これは、大学が果たすことのできるミッションの中でも最も価値ある社会貢献だと思います。

  カセム学長 そのために全力を尽くします。ドウラ大使、今日はありがとうございました。




【学長対談】
アシュラフ・ウッド・ドウラ閣下
−駐日バングラデシュ人民共和国特命全権大使−
バックナンバーはこちら
キャンパスライフリポート
進路・就職
アカデミックリポート
インフォメーション
(c)copyright 2008 RITSUMEIKAN ASIA PACIFIC UNIVERSITY ホームへAPU