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基調報告
パネルディスカッション

パネリストの先生方の各専門分野における基調報告から始まった午後のプログラム。「時間と空間を広げてアジアを考える」という開催の趣旨のもと、先生方の長い研究生活や経験で得られた成果が一堂に披露されると共に、実証的で刺激的な討論が展開され、参加者はアジアの海上交流の歴史を様々な観点から考察することができました。
基調報告では、翌日に、九州国立博物館で実物を見学する媽祖神が、海を渡る船にとってどのような存在であったかなど、それぞれの研究分野を写真や地図を多く用いて、APU学生や一般の参加者にも分かりやすく紹介されました。
その後のパネルディスカッションでは「“銀”をめぐる自由競争時代が現代のマネーゲームにつながるものを感じる」という、身近な視点からの見解も述べられました。
特に話題となった「国を閉じるか開くか」については、16世紀にヨーロッパ人が東南アジアに渡来し様々な影響をもたらしたことを例に、「相互理解のない状態では、秩序を破壊してしまうことになる」「自分を知り、相手を知ることが大切」と、国や地域が相互に交流する際の重要な指針が示されました。
さらに「長い目で見ると国を開くことは必要」「世界から孤立してはいけない」という意見から「そこで大切なものは何か?」という討論につながり、「地域の特性やアイデンティティをどうやって両立させるかが大切」「ある文化と別の文化が交わることは怖い事のようでもあるが、いかに普遍的なものであっても、伝わる先の土地の文化という着物を着て初めて根付く。ヨーロッパの文化をまとったままアジアに入っては来ない。アジアの着物を身に付けられれば浸透し、そうでなければ失敗する。」という今日のグローバリゼーションにおける問題なども示唆されました。
「文化は西から」と言われる中、あらゆる海につながるこの別府。その海を臨みながら、APU生はこれからを見つめ、頑張って勉強して欲しい、とパネリストから期待の声もいただき、ディスカッションは大盛況のうちに幕を閉じました。 |
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パネリスト・基調報告内容
(上段左から)
福井 捷朗
(立命館アジア太平洋大学教授)
「アジアと海、ユーラシアと海」
新田 栄治
(鹿児島大学教授)
「ものが語る海上交流」
蓮田 隆志
(大阪大学21世紀COEプログラム特任研究員)
「海が閉じるとき、海が開くとき
ー海から見るアジアとそのダイナミズムー」
楠井 隆志
(九州国立博物館主任研究員)
「中国の海洋神と『海の神々』」
甲斐 大策
(作家・画家)
「移動系と定住系」 |
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コーディネーター
板橋 旺爾
(読売新聞西部本社編集委員) |
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