2015/10/19

セミナーレポート:“Appropriating Aesop's Fables in Early Modern Japan: The Asianization of the Mediterranean”

2015年9月30日、ローレンス・マルソー教授(Senior Lecturer in Japanese, University of Auckland)をお迎えし、
RCAPSセミナー「Appropriating Aesop's Fables in Early Modern Japan: The Asianization of the Mediterranean」を開催しました。





マルソー博士は今回のセミナーでイソップ物語が欧州の言語から近世日本の言語文化に置き換えられて行く過程を検証し、その過程における意思決定の意義について話されました。1593年、西洋の言語以外で初となるイソップ物語が日本語で登場します。九州の天草のイエズス会出版から、ローマ字表記による天草方言版のイソップ物語が出版されました。その後、漢字と仮名遣いの標準的な日本語文語によるイソップ物語が登場します。この標準文語版は17世紀に異なる出版社から復刻され、1659年にイラスト付きの木版画版が流通するようになります。この木版画版には、イソップ自身も登場人物の一人として登場しますが、地中海の人物としてではなく、日本人という設定になっています。イソップが物語の中で遭遇する人々も日本や中国、朝鮮など、アジアの人物として描かれています。セミナーでは、マルソー博士への質疑応答で締めくくられました。今回のセミナーの参加者には、イソップ物語が17世紀初頭の九州の人々にどのようにして溶け込んで行ったのかについて興味を示す方もいて、興味深く耳を傾けていました。

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