戦略とマーケティング トップページ
企業理念、ドメイン、CI 事業ポートフォリオ(PPM)の考え方 マーケティングの4P
製品ライフサイクル 競争戦略 M&Aと戦略的提携
多角化戦略とは何か



多角化戦略とは

 多角化戦略は、現代企業が持続的成長を実現するための方法の一つである。I.アンゾフは、現代企業が持続的成長を実現するには、市場浸透、市場開発、製品開発、多角化があると述べている。多角化は現在の地域において技術やニーズを広げる戦略であり、別の言い方をすれば、多角戦略とは、企業が有する経営資源を新製品と市場へ投入することによって、経営資源を増大させる方法である。


関連多角化戦略

 多角化戦略といってもたくさんの方法があり、関連多角化と非関連多角化とに分けられ、さらに前者は、技術関連型多角化と市場関連型多角化に分けられる。関連型多角化は、製品、技術、流通チャンネルなどのように企業が有する何かの知識やスキルを活用して、新しい分野で授業を展開することをいう。技術関連型多角化は既存自社技術力を活用して新製品を開発することによって事業の新たな展開を図ることである。例えば、かつてバイク生産をしていたホンダが乗用車に進出するケースの場合である。市場関連型多角化は、自社がすでに事業を行っている市場で形成したノウハウを活かして新たに事業展開することである。例えば、銅線メーカーが光ファイバー通信回線を市場に投入するケースである。技術的には銅線と光ファイバーでは関連はあまりないが、市場は同じ通信回線市場であり、販売ノウハウには共通性がある。


非関連型多角化戦略

 非関連型多角化は、管理能力と財務能力以外の経営資源を有することなく、既存の事業以外の分野に進出することである。例えば、セラミック製の部品を製造していた京セラがDDIを設立した(現在、DDIはKDDなどと合併し、KDDIとなった)というケースである。1970年代のアメリカにおいて、非関連型多角化戦略を盛んに用いたのはコングロマリオット企業である。ITTやリットン・インダストリーといったコングロマリット企業は、既存の事業とは全く関係のない事業会社を次々に買収することによって巨大化したが、収益性が急速に悪化していった。その結果、コングロマリット化を志向する企業はあまり現れなくなった。


多角化と成長性・収益性

 多種多様な多角戦略が考えられるが、多角化の程度によって成長性と収益性に差異が現れることが知られている。成長性は多角化の程度が高い企業ほど高いが、収益性は多角化が中程度の企業が優れている。成長性は多角化の程度に応じて増大するが、収益性はある程度の多角化を超えると逆に低下する。1960年代におけるGEの「利益なき成長」がその例である。企業が成長するには多角化は有効であるが、多角化が進みすぎると収益性の低下を招くことが多い。もちろん、各産業ともその組織編成は異なっており、また産業構造も国によって異なるために、多角戦略と成長性・収益性とが常に相関関係にあるわけではないことに注意しておく必要がある。


シナジー効果

 ところで、関連性の高い多角化は高い収益性をもたらすのであるが、その理由は既存事業と新しい事業の間にシナジー効果(=相乗効果:synergy effect)があるためである。シナジーは「2+2=5」として説明され、部分の単純総和よりも結合の成果の方が高いことを意味する。結合の成果は共通の流通経路、設備や要因の共通化による稼働率の向上、研究開発活動の成果の他製品への転用、原材料調達の共通化などによって実現され、このときシナジー効果があるというのである。多角化戦略は、こうしたシナジー効果を得ることによって収益性を実現している。