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企業の諸形態:株式会社を中心に 株式と社債
企業の資金調達手段 企業ファイナンスと証券業務



個人企業と会社

 企業には様々な種類があるが、会社(company)と個人企業(sole proprietorship)との違いを理解することは重要である。

 会社は、生身の人間すなわち自然人から独立した法人格をもつ。個人企業は事業主個人と企業が一体化しているので、事業主が死亡すれば、相続人に引き継がれない限り、企業の生命も終わる。法人である会社は、倒産することはあっても死亡することはない。また、個人企業の所得は事業主個人の所得でもあり、個人企業にたいする所得税は事業主個人にたいする所得税でもあるが、法人である会社は、事業主の所得税とは別に、法人税を支払う、という違いもある。

 会社にも様々な種類がある。日本では合名会社(general partnership)、合資会社(limited partnership)、有限会社(limited company)、株式会社(stock corporation)などがある。これらは、@社員(出資者のこと)の債権者にたいする責任の範囲や、A出資(社員が拠出した資本)の換金可能性または譲渡可能性、B経営者と社員の関係において異なる。以下、これら3つの観点から、株式会社の特徴を整理する。


株式会社の3つの特徴

 第1は、社員たる株主全員の有限責任(limited liability)である。株主は出資額を限度に債権者に対して責任を負う。会社が倒産しても出資額が返って来ないだけであり、銀行などの債権者から会社債務の返済を求められることはない。有限責任に対置されるのが無限責任(unlimited liability)である。例えば、個人企業の事業主や合名会社の社員は、倒産すれば個人の財産にまで債務の請求がおよぶことになる。

 第2は、資本の証券化と株式譲渡自由の原則である。つぎの理由から株式会社では、株主は資本の払い戻しを会社から直接受けることができない。株主がかつて拠出した資本は、すでに本社ビルや工場その他設備などへ投資されてしまっている換金は容易ではない。そのため、出資の払い戻し要請に一つ一つ応えていたのでは、生産活動を続けることが困難となる。そこで株式会社では、生産活動の継続性と固定化した資本の流動化を両立させるために株券(stock certificate)を発行し、その売買を自由にすることをつうじて、出資の払い戻しに代替させている。そして、株式を売買する場が、株式市場(stock market)すなわち証券取引所(stock exchange)である。証券取引所に株式を公開している株式会社を上場会社(listed company)という。

 第3は、所有と経営の分離(separation of ownership and control)である。証券市場が発達し、株式が自由に売買されることにより、その株式は、会社経営に影響力をもたない、多数の株主によって保有されることになる。しかも、彼らのほとんどは会社を経営する知識や能力をもたない。そこで、株主は株主総会において、取締役(director)または経営者(management)を選出し、会社経営を委ねている。株式会社では、専門経営者(professional management)が会社を経営し、所有から経営が分離している。

以上が、株式会社の3つの特徴である。これらの点について、合名会社、合資会社、有限会社と比較し、その他の関連法の規定を示すと、以下のようになる。