学長ノート

フレンドリーでいこう!

2015/10/02

今村 正治 元副学長

 新入生のみなさん、ご入学おめでとうございます。

 ところで、こっちとあっちとか、何県と何県の境とか、某国と某国の境とか、Borderというものがありますね。それは、地理的なものだけではなく、僕とあいつとか、大阪人と東京人とか、日本人と韓国人とか、男と女とか、世の中には、とにかくいろんな違い=Borderが設けられていますね。ひとりひとりの心の中にも、あいつとはなんだか違うんだよな〜というBorderがあるかもしれない。
 そう考えると、APUはいろんな意味で、みなさんにとって、とびきりたくさんのBorderが存在する場所かもしれない。そんな場所で、あ〜違う、違う、う〜ん、ここが境目か・・なんて、いちいち考えていたら、たまんないですね。

 昨年、「ムスリムフレンドリー」という言葉というか、考え方をAPUの学生や先生から教わりました。たとえば日本が、ムスリムの人たちを受け入れたり、彼らといっしょに暮らしたりするのに、完璧な環境を準備することはできないけど、可能な限り歩み寄って、できることをやるという考えかたです。それにしても、「フレンドリー」という言葉はいいですね。とにかくフラットな感じがします。「おもてなし」よりも僕は好きです。「おもてなし」には、もてなす側ともてなされる側というBorderがありますからね。僕は、この「フレンドリー」をムスリム以外にも、広げて行きたいなと考えたりしています。ベジタリアン、障がい者、難病に苦しむ人、LGBT (性的少数者)・・・なんでもかんでもできるわけではないけれど、とにかく違いを理解し歩み寄る。少なくとも一番困ること、とっても悩むことは、なんとかいっしょに解決しようみたいな姿勢をみんなが持つことができれば、APUは素晴らしいキャンパスになると思います。

 今年も別府で開催された「混浴温泉世界」のパンフレットの冒頭にこんな素敵な文章があります。

「大地から湧きだし、窪みに溜まる。これは誰のものでもない。
 人はそれを慈しみ、自発的に守り維持する。
 そして、ここに住む人も旅する人も、男も女も、服を脱ぎ、湯につかり、
 国籍も宗教も関係なく、武器も持たず丸裸で、
 それぞれの人生のあるときを共有する。」

 これからみなさんが学び生活する別府市は、このような人と人との平和な原風景を持つ街です。もうすでに「フレンドリー」ですね。
 誰かが言ってたけど、APUと別府は、相性がいいんです。
 
 そして、みなさんが学んでいるここ日本は、もう二度と戦争はしないと世界に誓い、事実70年間、戦争をしてこなかった。平和な国、脅威のない国として、世界に対してフレンドリーであるともいえます。これからも、そういう日本であり続けることでこそ、APUは、世界の学生のみなさんにとって、学びの場になりえると思います。

 僕たちAPUは、フレンドリーでいこう! 世界も日本も大変だけど。 

記 2015年9月18日


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