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「チューブワーム」と宇宙−広島大准教授 長沼氏による宇宙生物学特別講義

講演・シンポジウム|来学者

2010/2/10

2010年1月22日(金)、広島大学生物圏科学研究所から長沼 毅準教授を招き、APUが設置する「健康・環境・生命インスティテュート(HEALS)(*)」所属学生を対象に、「宇宙に広がる人間圏と地球環境問題」と題した特別講義を行いました。長沼准教授は、海底の生活系や地下生命圏、地球外生物の可能性について考察しました。


特別講義は、モンテ・カセム前学長の招聘によるもので、地球のエネルギーや資源が人によって大量に消費されている現在の状況を受け、人類圏(人間が生存可能な範囲)が地球上のバイオ地球化学領域に限られていることを疑問視する長沼准教授の研究に着目しことから、実現に至りました。
カセム前学長は、学生へ「地球を超えた人類の活動の拡大は、現存する地球上の生物とは全く異質の地球外生物との共存の可能性にも通じる新しい挑戦と言えます。この点において、長沼准教授の深海の生物圏(人類の生存に適さないとされる厳しい環境)の生命に関する研究は、地球外生物への理解につながるヒントとなり得ます」と紹介しました。

長沼准教授は冒頭、太平洋の海底にある熱水噴出孔周辺で発見された深海生物“チューブワーム”について説明しました。チューブワームは、口も消化管もなく、日光ではなく地殻から湧き出る共生細菌によってもたらされる栄養に頼って生きるという、生命維持方法が従来の生物とは大きく異なる不思議な生物です。生物の常識を超えるチューブワームの発見は、その栄養分となる細菌の源である地殻に生命体が存在する可能性も示しており、研究者の注目を集めました。

長沼准教授は、チューブワームのような生命体を他の太陽系の惑星、特に木星の衛星であるユーロパでも発見できる可能性を示唆しました。ユーロパは厚い氷に覆われており、その下にある海で地熱活動を行っている見込みがあるため、その海と地殻で発見できる可能性があると説明しました。

講義の最後に、多くの学生から“最近の調査で、月面には水を含んだ岩石がある可能性があることが分かったが、月にも生命の可能性があるのか”といった興味深い質問が上がりました。長沼准教授は、「太陽の放射線から身を守られるほど十分に深い場所に生息し、岩石の中の水を利用することが可能であれば、生命体は月面に潜在的には存在するかもしれません」と答えました。

(*)APUでは、複雑で多様化するアジア太平洋の諸課題に迅速かつ戦略的に対応するために、アジア太平洋学部(APS)と国際経営学部(APM)の両学部を横断して学べる5つの教育・研究組織「インスティテュート」を設置し、大学院接続までを視野に入れた高度な学びに取り組む「クロスオーバー・アドヴァンスド・プログラム(CAP)」を展開しています。その中で「健康・環境・生命インスティテュート」は、自然生態系と人間生態系の保全と維持に寄与できる人材育成を目指しています。



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