立命館アジア太平洋大学
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松下電器産業株式会社 常務取締役 福島伸一氏

国際社会では多様性に加え コミュニケーション能力が大事です。 APUの多文化環境での学びは その課題を実現しています(福島)。

松下電器産業株式会社 常務取締役 福島伸一氏

1971年京都大学法学部を卒業し、松下電器産業株式会社へ入社。
2003年同社取締役就任。
2005年同社常務取締役に就任。

自由と国際主義という学祖・西園寺公望の精神が APUで開花しました(カセム)。

福島/今日初めてAPUのキャンパスにおじゃましました。若いエネルギーにあふれていて、留学生もたくさんいらっしゃる。グローバリズムを肌で感じられる大学ですね。

カセム/常務には英語で開講されている専門科目の授業も参観していただきました。

福島/これからの国際社会では、英語を話せるということを前提として、そこからコミュニケーションをいかに掘り下げていくかが課題になります。そういった意味で、APUの授業スタイルは優れていると思いました。
実は私は長崎県の出身でして、いつも「長崎には出島がある。この出島があったからこそ、今の日本があるんだ」とお国自慢をしています(笑)。九州は、歴史的にもアジアを中心とする世界に開かれていたところなんです。その九州の別府の地で、21世紀を目前にした西暦2000年に、世界中から学生が集まるAPUが開学したと知ったときは、わが事のようにうれしく思いましたね。

カセム/立命館学園は西園寺公望を学祖としています。西園寺は自由と国際主義を唱えた政治家ですが、その理念のひとつである国際主義が、立命館大学が創立して100年後にAPUで開花したのです。しかしAPUは開学してまだ8年。世界規模でビジネスを展開する御社は、グローバリズムの実践において大先輩です。

グローバリズムは、 日本の企業の大テーマです(福島)。

福島/弊社は、1917年に松下幸之助がつくったベンチャー企業を出発点としています。現在9兆円余りの売上の約半分が海外で、約32万人の従業員のうち日本人は3分の1程度。弊社において経営のグローバル化は最大のテーマであり続けてきました。これからもますますグローバル化を推進していきますが、まず日本国内に100人しかいない外国人の社員を、2010年には250人にしようと考えています。

カセム/APUの卒業生も、昨年に引き続き、今年もまた松下電器様そして新たに松下電器グループ企業様にも採用いただきました。採用していただいたことを感謝しています。

福島/1名は日・英・韓、もう1名も数カ国語話せ、大いに社内で活躍いただいております。

カセム/大学にとって卒業生は最大の成果物です。APUの卒業生が御社の中に増えていくことは、私共の教育の成果が認められたことでもあります。光栄ですね。

福島/弊社だけでなく、グローバリズムはすべての日本の企業にとって大きなテーマです。

カセム/そうですね。いま国際化というと、私ども大学の教員を含めて知識人がリードしているように誤解されているところがあります。しかし実際には既に日本の企業は国際化されています。しかし社会からはそれが見えづらくなっているのかも知れません。ひるがえって言えば、日本企業の国際化の現状を研究して社会に伝えていくのが私共の使命なのですが。

立命館アジア太平洋大学 学長 モンテ・カセム

1947年スリランカ生まれ。スリランカ大学建築学科卒業後、東京大学大学院工学系研究科修士課程修了・博士課程単位取得。国際連合地域開発センター主任研究員等を経て、1994年より立命館大学国際関係学部教授、政策科学部教授を歴任。2004年より現職。

これまでキャンパスで実践してきた 活発な異文化コミュニケーション。 今後はその大切さを社会へ広めていきたい と考えています(カセム)。

学生の成長のために、 我々も改革を進めていきます(カセム)。

カセム/日本は戦後、軍需産業に依存しない産業構造を築きました。これは世界の歴史でも初めてのことです。そしてその経済体制をリードしてきた企業のひとつが、御社であると思っています。その成長の秘密はどこにあるのでしょうか。

福島/人を大切にしたことではないでしょうか。あるとき松下幸之助が、「あなたの会社は何を作っているのですか?」と問われたときの答え方として、社員にこう語ったと言います。「モノを作る前に人を作っている会社です」と。

カセム/なるほど。どんなに立派な経営理念があっても、実践するのは人間ですからね。

福島/そうなんです。現在の会長の中村がトップになったとき、「経営理念以外はすべて何を変えてもいいんだ」と宣言しました。いろいろな改革の1つとして「女性かがやき本部」を設立しました。それも中村が、本社の会議に女性がいないのはどういうことだと、問題提起をしたのが始まりなのです。その本部のもとに、女性の戦力化と経営参画、ヒット商品開発への女性の参加、女性を輝かせるための社内風土の醸成に取り組みました。現在、大坪社長のもと更に女性のみならず国籍や年齢にかかわらず、多様な人材がイキイキ活躍できる松下創りに取り組んでいます。

カセム/なるほど。人を大切にするという御社の理念のもとに、大胆な改革をなさったのですね。大学の使命も、まさしく人を育てることです。そのためには、私もどんどん改革を進めていきます。自由と国際主義という西園寺の精神をしっかりと守りながら。

福島/企業も大学も、われわれは何のためにあるのか、というそれぞれの組織の価値観をしっかり共有していることこそが大切なんです。価値観が共有されていれば、改革はうまくいきます。